2026年のF1で、ベスト・オブ・ザ・レスト(上位チーム以外で最も強いチーム)はどこなのだろうか? F1開幕戦オーストラリアGPの決勝レースでの各チームのペース推移から分析してみよう。
オーストラリアGPでは、メルセデスが1-2フィニッシュを達成、フェラーリ勢の2台がそれに続いた。そして5位はマクラーレンのランド・ノリスとレッドブルのマックス・フェルスタッペンによって争われた。
これを見る限り、トップ4は序列こそ入れ替わっているようだが、昨年までと同じマクラーレン、メルセデス、レッドブル、フェラーリの4チームで占められているようだ。
ではこれに続くチームはどこなのだろうか?
7位でフィニッシュしたのは、ハースのオリバー・ベアマンだった。ベアマンは予選で12番手。決勝ではスタートで3台のマシンに先行されたもののその後のペースは優れており、次々に前をいくマシンをオーバーテイク。最終的にはレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドも抜き、7位でフィニッシュした。
今回の決勝レースでは、多くのマシンが1ストップで決勝レースを走り切った。ベアマンとリンドブラッドは、いずれもミディアムタイヤでスタートし、その後18周目にバルテリ・ボッタス(キャデラック)がトラブルのためにマシンをコース脇に停めたところでピットインしてハードタイヤを履き替えてチェッカーを目指した。戦略的にはふたりは全く同じだ。
しかし両者には違いがあった。それはタイヤのデグラデーションである。
■レーシングブルズのデグラデーションは大きい
こちらのグラフは、F1オーストラリアGP決勝レースの各車のペース推移を折れ線で示したモノである。
ベアマンはハードタイヤを履いた後、チェッカーまで安定したペースで走った。しかしリンドブラッドの方は徐々にではあるがペースが低下(グラフ赤丸の部分)し、一周あたりコンマ数秒ほどベアマンに劣っていた。そのため最大で8秒ほどあった差が徐々に縮まっていき、40周目に入った直後のメインストレートで、ベアマンがオーバーテイクを成功。勝負あった。
予選などを見る限り、一発の速さではレーシングブルズが優れていそうだが、決勝でのレースペースではハースの方が圧倒的。レーシングブルズは、他と比べてもペースの下落幅が大きいように見える。
このレーシングブルズの傾向がタイヤへの負荷にあるのか、あるいはバッテリーなどPUに起因する部分にあるのかは、現時点ではなんとも言えない。
ここまで見ると、現時点でのベスト・オブ・ザ・レストは、ハースで間違いないと言いたくもなるが、もうひとつ気になるチームがある。それがアウディだ。
■アウディ、印象的なデビュー戦
アウディにとっては今回のレースが、F1で最初のレースであった。チームは”元”ザウバーであり、経験・実績ともに十分であるのは間違いないが、F1用パワーユニットを開発するのは初めて。しかし他メーカーのPUと遜色ないパフォーマンスを、いきなり発揮したと言うことができよう。
しかもペースも秀逸であった。前出のグラフの、濃い朱色で示したのが、ボルトレトのレースペースである。青い丸で示した部分を見ていただくと、ベアマンやリンドブラッドと遜色ないペースで走っていたことがよく分かる。アルピーヌのピエール・ガスリーよりは明らかに速い。
ただアウディは、他とは異なる戦略を採った。それはセルジオ・ペレス(キャデラック)のマシンから脱落したパーツを回収するために、このレース3度目のVSC(バーチャル・セーフティカー)が出された際に2度目のピットストップを行なったことだ。
ただこの2度目のピットストップを行なっても、順位を上げられなかった。最後の最後、ボルトレトはリンドブラッドを捉えることができなかったのだ。ただこれは、作戦失敗であった可能性が高い。
まず前述の通り、リンドブラッドはレース後半のペースを落としていたため、ボルトレトが1ストップ戦略で走り切っていたならば、オーバーテイクも可能だったのではないかということ。つまり8位も十分に可能だった。
さらに2セット目のハードタイヤに履き替えた時のペース(グラフ緑丸の部分)自体は、それ以前とそう大きく変わっていない。新しいタイヤを履いたメリットをあまり享受できていなかったのだ。
そしてハードタイヤ1セット目は、まだまだ美味しいところはこれから……というところで交換された可能性が高い。グラフの黄色の丸(29~32周目)で示した部分をご覧いただきたい。ここでペースが上がっているのが分かる。この時のペースは、実はマクラーレンのランド・ノリス(オレンジ色の線)にも匹敵するほどであった。
もちろん、そもそも2ストップの戦略だったためタイヤを使い切ってしまおうという段階であった可能性もあるが、もし無理していないペースであったならば、実に驚異的に見える。
アウディは今季がF1参戦1年目。にもかかわらず、中団グループのトップに立っても不思議ではないと言えよう。
なおアルピーヌはこれら3チームから若干遅れる位置。ウイリアムズはレース中盤のペースダウンが大きく気になる。
さらにキャデラックは、まだまだ改善の余地が大きくありそう。中団グループからはかなり遅れていそうだ。アストンマーティンも、今回のグランプリではキャデラックと同等というペースであったように思われる。

