FIAは、F1チームにレースでの戦略での選択肢を増やすため、F1シンガポールGPの金曜フリー走行でピットレーンの速度制限引き上げを試験的に実施する。
通常、F1のピットレーン制限速度は80km/hに設定されている。しかし狭いマリーナベイ市街地サーキットで開催されるシンガポールはピットレーンが狭いため、安全上の理由からモナコやザントフールトと並び60km/hに厳しく制限されてきた。
しかしザントフールトでのピットレーン制限速度引き上げが成功したのを受けて、FIAはシンガポールでも80km/hに引き上げることを決定。まず金曜日のフリー走行1回目、フリー走行2回目で試験運用した後、関係者やチームからのフィードバックに基づいて評価が行なわれる。FIAが速度引き上げに安全上のリスクがないと判断した場合、土曜日以降のセッションでもピットレーン制限速度が80km/hで維持される見込みだ。
ピットレーン制限速度引き上げに伴い物理的な変更はないが、当初の報道ではピットレーンの幅が1m拡大されたとされていた。
F1ドライバーは長年、ピットストップによるタイムロスを削減できるため、制限速度の引き上げを強く望んでいた。400mのピットレーンで制限速度を20km/h引き上げられれば、ピット作業にかかる全体の時間が約6秒短縮され、戦略的な選択肢が広がる。
戦略の幅は特に、1ストップ戦略で走り切ることが容易だったシンガポールGPで重要となる。
なおF1公式タイヤサプライヤーのピレリは昨年同様、C3、C4、C5コンパウンドをシンガポールに持ち込む。ミディアムタイヤとハードタイヤは62周のレースの大半を問題なく完走できる性能だ。
ピットレーン制限速度引き上げによる全体的な時間短縮で、タイヤデグラデーション(性能劣化)次第では、理論上2ストップ戦略がより魅力的になる。加えて、セーフティカー出動時の追加ピットストップに求められる時間を短縮する上でも特に重要。舞台となるマリーナベイ市街地サーキットはコースとウォールの距離が近く、クラッシュ発生によるセーフティカー出動の可能性はあり得ない話ではない。

