スマホの通知に追われる日常から、少し距離を置く。そんな「デジタルデトックス」では、若者が編み物や日記、フィルムカメラといったアナログ趣味にハマるケースが報告されているが、この流れは中年層にもじわじわと波及している。
その背景にあるのは、仕事でも私生活でもスマホとパソコンに囲まれた生活だ。とりわけ40代から50代のビジネスパーソンは、業務でメールやチャット、SNS、ニュース通知に一日中さらされている。ITコンサルタントが語る。
「中年層は仕事でデジタルを使う時間が長い分、意識的にオフラインの時間を作ろうとする人が増えているんです」
旅行業界でもこのニーズを意識する動きが出ている。星野リゾートが手がける滞在型リゾートブランド「星のや」などでは、チェックインの際にスマートフォンを専用ケースに収めて過ごす、「デジタル断ち」をテーマにした宿泊プランが登場している。客室にテレビを置かず、Wi-Fiもない。読書や散歩、温泉などにたっぷりと時間を使う過ごし方を提案している。
ただ、こうした専用プランを利用しなくても、自分でデジタルデトックスを実践する人は少なくない。ビジネスホテルに泊まる際、あえて客室のWi-Fiをオフにしたり、電波の入りにくい昔ながらのビジネスホテルを選んだりするのだ。
50代会社員が実体験を語る。
「出張でホテルに泊まるとつい、スマホを見続けてしまう。最近は思い切って機内モードにして、本を一冊読むようにしています」
さらに人気が高いのは「強制オフライン」の代表格といえる、サウナ付きホテルだ。サウナ室にはスマホを持ち込めないため、自然とデジタルから離れられる。サウナ⇒水風呂⇒休憩を繰り返す「ととのい時間」が、頭のリセットにつながるとして、中年男性の支持を集めている。
若者の編み物ブームに象徴されるアナログ回帰。デジタル疲れを感じている中年世代とて、通知音に追われない静かな時間を求めているのだった。
(旅羽翼)

