休場か、それとも皆勤負けしか…。
大相撲春場所で、横綱・大の里が初日からまさかの3連敗。本人が「(内容も結果も)良くないです」と語る大失態の土俵が続いている。
1年前には春夏連覇で横綱昇進を決めている、ゲンのいい場所のはずだった。横綱は強くて当たり前なのが、相撲界の常識だ。年6場所制になったのは昭和33年(1958年)からだが、横綱が「15日間皆勤出場」して負け越したのは、たった2人しかいない。1989年秋場所の大乃国(現・芝田山親方)、1999年秋場所の若乃花(花田虎上氏)である。2人とも7勝7敗で千秋楽を迎え、負け越した。
本場所で負けが続けば、横綱にとっての選択肢のひとつに「休場」するという文化がある。大の里は昨年11月の九州場所13日目で、左肩鎖関節脱臼のケガを負った。1カ月の安静加療という診断が出たが、初場所は10勝止まり。
相撲界には昭和の大横綱・北の湖による「横綱の勝ち越しは13勝以上」という格言があり、初場所は大の里は「精彩を欠いた」という評価だった。
「大の里は肩を負傷してすぐは、一人で着物も着られないほどの重傷だった」(相撲協会OB)
初日からの横綱3連敗は2019年の初場所での、大の里の師匠である二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)以来となる。その親方は「体は大丈夫。気持ちを作ってやっていく」と大の里の出場を示唆したが、これでもし「皆勤負け越し」となれば、その進退問題に発展するのが相撲界の常識だ。
横綱審議委員会は、横綱をクビにできる。委員の3分2以上の決議があれば「引退勧告」などが可能になるからだ。
二所ノ関親方は2018年の春場所で左胸に重傷を負ったのちに、1958年以降の横綱としては最長となる「8場所連続休場」となった。「横審は1999年に皆勤負け越しをした若乃花には「休場勧告」、その後、2002年に7場所連続休場した貴乃花には「出場勧告」をしている。
「人気絶頂だった若貴兄弟にも、容赦ありませんでした」(古参の相撲担当記者)
出るも休むも、茨の道しか大の里には残されていない。
(小田龍司)

