力尽きる夫
1週間が過ぎた夜、帰宅するとリビングのソファに夫がぐったりともたれ込んでいました。エプロンをつけたまま、手には使いかけの布巾。目が合うと夫はゆっくりと顔をこちらへ向け、「ごめん」とだけ言いました。搾り出すような声でした。続けて「毎日これをやってたんだな。仕事もしながら」とうつむきながら言いました。
私は、ふと口元がゆるんだのを、自分でも感じていました。怒りよりも先に、胸の奥がじんわりと温かくなったのを覚えています。ようやく気づいてくれた。10年分の疲れを少しだけ軽くしてくれた気がしました。
そして...
あの日を境に、夫は変わりました。家事が上手になったわけではありませんが、それでも、朝のゴミ出しは夫の担当になり、週末の夕飯は夫が作るようになりました。また、「手伝おうか」ではなく「次は俺がやるよ」と言うようになったのです。小さな変化かもしれません。けれど、私にとってそれは何よりも嬉しい言葉でした。家事は「手伝うもの」ではなく、一緒に暮らす二人で担うもの。そんな当たり前のことに夫が気づいてくれたこと、それだけで十分だと思えたのです。
(30代女性・会社員)
本記事は、読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
