フェラーリのフレデリック・バスール代表は2026年から導入されたF1の新レギュレーションを性急に変更することは「間違いだ」と述べた。
F1は今季から新しいシャシーとパワーユニット規則を導入しており、パワーユニットは出力の約50%が電動パワーとなった。その結果、レースではエネルギーマネジメントの重要性が大きく増している。
その影響で、オーストラリアGPでは多くのドライバーがブレーキング前にリフト&コーストを行なっていた。このドライビングはエネルギー消費が大きいアルバートパーク・サーキットの特性によってさらに強調されてしまった。
その一方でレースでは120回ものオーバーテイクが記録された。これは昨年の45回から大きく増えた数字であり、首位争いでも複数回のポジションチェンジがあった。ただし、レース展開においてエネルギーマネジメントが大きく影響したことには疑問の声も上がっている。
さらに2026年レギュレーションではMGU-Hが廃止されたため、ターボの立ち上げ難度が上がった。そして開幕戦ではスタート前に追加の猶予時間が5秒与えられたにもかかわらず、ストール寸前のドライバーが出たことでスタート直後に危険な接触寸前の場面が起きた。
加えて、ストレートモード、オーバーテイクモード、ブーストモードなどの複雑なシステムやスーパークリッピングといった回生方法などが、特にライトなファンにとっては理解しにくいという指摘もある。
では、2026年のマシンはすぐに修正すべきなのか? フェラーリのバスール代表は、その点で早すぎる結論を出すべきではないと強調する。
「シーズン前には、多くのネガティブなコメントや予測があったのは事実だ。開幕戦の前からレギュレーションを変更すべきだという声もあった」
バスール代表はそう語る。
「しかし正直に言って、2〜3レースは様子を見るべきだと思う」
「今回のレースは素晴らしかった。もちろん毎回こうなるとは限らないだろうが、非常に良いサプライズだった」
バスール代表はレース序盤のジョージ・ラッセル(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)のトップ争いについて「率直に言って、最初の10周はここ10年で見たことがないようなものだった」とも付け加える。
「ただし、これが毎週末続くとは限らないということも覚えておく必要がある」
「それでもスポーツとしては素晴らしいスタートだったし、ショーとしても非常に良いものだった。ファンの皆も最初のスティントをかなり楽しんだと思う。今はこのまま続けて、もし数レース後に対応が必要なら対応すればいい。しかし、あまりに性急に行なうのは間違いだ」
そしてザウバーのチーム代表であるジョナサン・ウィートリーも、性急な判断に反対する立場を示した。
「我々はこのマシンでまだ1レースしかしていない。本当に最初の1レースだ」
「スタートは興味深かった。現時点ではスタートがうまいチームとそうでないチームがある。しかし他のチームもすぐに追いつくことは分かっている。長期的な観点で見ているんだ」
「いいレースを楽しめたと思うし、ワクワクするものだった。観客の皆さんもそう思っていただろうし、マシンの音と共に歓声が聞こえていたよ」
「学ぶべきことはたくさんある。レース終盤のガビ(ガブリエル・ボルトレト/アウディ)とアービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)のバトルは興味深かった。エネルギーの異なる使い方や、その裏にある戦略などがね」
「だからまずはシーズンを少し進めよう。もう数レース走ってから判断すればいい」
なおSky Sport Germanyに出演した元F1ドライバーのティモ・グロックからは、エネルギーマネジメントによる大きな速度差が危険ではないかという質問がウィートリー代表に向けられたが、その点についても彼が落ち着いた見方を示している。
「我々全員が、このスポーツを世界最高のモータースポーツにするために関わっている。FIAは長年F1を管理してきたし、非常に良い仕事をしている。彼らはドライバーやチームの声をしっかり聞いているんだ。ときには耳を傾けすぎているときがあるかもしれないし、それが今回なのかもしれない」
「しかし私が言いたいのは批判ではなく、彼らがチームやドライバーの声に柔軟な姿勢で耳を傾けているということだ」
「マシンはこれからさらに洗練されて、そして運転もしやすくなるだろう。3年後には、もしかすると史上最高のF1マシンになっているかもしれない」

