
【今さら聞けないサッカー用語:ビルドアップ】正確性がボール保持率を高めて効果的なチャンスに。個で剥がせる選手は貴重
聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第12弾は「ビルドアップ」だ。
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攻撃において自陣の後方から、長短のパスやドリブルを用いて相手ディフェンスのプレッシャーを回避しながら組み立てるプロセスのこと。
一般的には、パス回しそのものを指すこともある。しっかりと戦術的な意図を持ってビルドアップできているか。その正確性がボール保持率を高めるだけでなく、効果的なチャンスに繋がる。
ビルドアップと守備のプレスやマーキングは対の関係にあり、守備側はうまくハメて高い位置でボールを奪ったり、ミスを誘おうとする。攻撃側はそれらをうまく外して、相手陣内の深くまでボールを運んだり、チャンスの起点を作ろうとする。
ボールを回しながら、相手のプレッシャーが薄い場所やフリースペースに展開することを「解放」、そこから守備を破ってチャンスに繋がるルートを「出口」と呼ぶ。
そうした状況を作り出すためのビルドアップには、大枠としての設計面の理解はもちろん、パスの出し手と受け手、周りでディフェンスを引き付けたり、さらに次のパスコースを確保する周りの選手など、ボールに直接関わる選手や関わっていない選手の共有が不可欠になる。
また、理論上は上手く相手の守備を外せるケースでも、1つのパスやポジショニングのミスがビルドアップの停滞や不用意なボールロストに繋がってしまう。そのため、技術的なベースも重要になる。
基本的には相手にボールを触らせることなく、上手くビルドアップの出口へと解放できればいいが、相手の守備もそれをやらせないために対策してくる。そこで大きな武器になるのが、個で剥がせる選手の存在だ。
歴代の日本代表で言えば、中村俊輔や小野伸二、遠藤保仁といった選手は卓越した技術を活かし、相手の守備をあえて自分に引き付けることで、周りの選手に時間やスペースを与えることができる。森保ジャパンでは鎌田大地が得意としている。
また、ディフェンスラインでも正確にパスを繋ぐだけでなく、ボールを持ちながら前に運ぶことで、ビルドアップの位置を押し上げたり、相手のプレッシャーを吸収して、周囲に出口を作りやすくできる。
そのほか、サイドに対人の強い選手を起用して、そこにセンターバックやボランチが斜めのボールを当てることで、相手の守備にズレを生じさせやすい。
チーム全体で戦術的な設計を共有することは大事だが、そこにうまく選手の個性を加えることで、相手の対応をより難しくすることが可能になるのだ。
文●河治良幸
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