シーズン終盤の重要な時期を戦うバルセロナにおいて、18歳のマルク・ベルナルが急速にその存在感を増している。中でも鮮烈な輝きを放ったのが、0-4(第1レグ)からの大逆転を目指したコパ・デル・レイ準決勝第2レグのアトレティコ戦だ。スコアは3-0とバルサはあと1点及ばず惜しくも敗退となったが、ベルナルはこの重要な一戦で、ペドリとともに中盤を支配しながら2得点をマークした。
戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏は「1年半もの間、フル出場から遠ざかっていながら、これほどのビッグゲームで全てを出し切る。その事実が、彼の並外れた実力を物語っている。卓越したフィルター能力、ゲームを読む力、そして揺るぎないパーソナリティ。ベルナルは、そのすべてをピッチで示した」と絶賛している。
1月下旬、ペドリの戦線離脱を受けて出場機会を増やすと、フレンキー・デ・ヨングとともに中盤を牽引。そのデ・ヨングが欠場中の現在は、復帰したペドリの後方支援役を見事に担っている。その躍進を陰で支えるのが、ハンジ・フリック監督だ。指揮官は2024年8月に大怪我を負い、1年以上の欠場を経て復帰した後も、ベルナルを慎重に扱ってきた。
スペイン紙『EL PAIS』は「スポーツ部門がフリックを語る際、必ず挙がるのが若手の成長を後押しするマネジメントの件だ。ベルナルの例はその最たるものだろう。フリックは一昨夏のプレシーズンでその才能に惚れ込んだ秘蔵っ子が、靭帯の負傷から復帰し、コンディションを整えるまで辛抱強く待ち続けた」と指摘する。
特筆すべきは、過酷なリハビリ期間中に並行して取り組んだ肉体改造の成果だ。デコSD(スポーツディレクター)が「ベルナルはフィジカル面で昨年から大きく向上した。しかもまだ肉体的に出来上がっていない年齢で、その成長は道半ばにある」と認める通り、その進化はカバーリングや対人戦の強度に加え、得点力にも表われている。バルサ寄りのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』のサンティ・ノジャ編集長も「ベルナルの得点力は非凡だ。中盤からゴール前へ入り込み、正確にフィニッシュを完遂する能力が十二分に備わっている」と高く評価。事実、直近の公式戦7試合で4得点と、中盤の選手としては異例のペースでゴールを量産中だ。
また、バルサOBであり、指導者に転身後はサラゴサなどを率いたビクトル・ムニョス氏は、ラミネ・ヤマルとのホットラインが炸裂した前述のアトレティコ戦における1点目のシーンを捉え、「ラミネの天才的な閃きとベルナルの嗅覚が融合した一撃だった。中盤の選手があの局面で、ゴール前にまで顔を出すのはなかなかない。しかし、カンテラ時代から共闘してきた両者の経験が、ピッチ上で明白な差となって現われた」と、その阿吽の呼吸を描写している。
この大活躍を受け、現地でさらなる注目が集まっているのが、ベルナル、ヤマルにパウ・クバルシを加えた「2007年生まれ」のトリオだ。前述のブラジャ氏は「ベルナル、クバルシ、ヤマルが見せるパフォーマンスはもはや異次元の域にある。システム全体を後方から成立させるセンターバック、ゲームを支配するミッドフィールダー、そして数的不利すら好機と捉えるアタッカー。彼らはまさに、バルサの至宝だ」と最大級の賛辞を送る。
奇しくも3人のポジションは、DF、MF、FWと各ラインに分かれている。黄金の未来図を強く予感させながら、2007年世代の躍動とともに、フリックバルサがいよいよシーズンの佳境を迎える。
文●下村正幸
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