F1開幕戦オーストラリアGPでは2台とも完走を逃すなど苦しい結果に終わったアストンマーティン。彼らは第2戦中国GPを前にした木曜日に、パワーユニット(PU)サプライヤーのホンダと合同のメディアセッションを実施し、その現状について語った。
報道陣を迎え入れたアストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサー、マイク・クラックは開口一番、冗談めかしてこう口にした。
「良いニュースがないはずないだろう?」
アストンマーティンは開幕前のテストから、異常振動の問題に悩まされた。マシンデザイナーでチーム代表のエイドリアン・ニューウェイは開幕戦を前にした取材で、振動の影響でバッテリーが損傷してしまい予備はない状態であり、さらにはドライバーの手に神経損傷が及ぶリスクがあることから、レース距離を走り切れる状態ではないと説明していた。
アストンマーティンとホンダは振動の問題について対策を施した上でメルボルンの開幕戦に臨んだが、結果としてフェルナンド・アロンソとランス・ストロールは共に完走ならず。トラブルのあったアロンソは13周でガレージに戻った後、再びコースインして8周を走ったところでレースを終え、ストロールも4度のピットインを挟んで43周を走ったものの、完走扱いとはならなかった。そのため、クラックとホンダのトラックサイド・ゼネラルマネージャーである折原伸太郎エンジニアには質問が相次いだ。
折原エンジニアは、オーストラリアGPと中国GPは連戦で時間は限られていたものの、状況は改善傾向だと語る。
「振動の問題については進展が見られており、さらに振動を減らすべく引き続き取り組み続けています」
「信頼性は依然として改善すべき課題です。アストンマーティンと対話しながら対策を見つけていますので、何か試せることがあるかもしれません」
「またレースで距離を重ねたことで、ドライバビリティやエネルギーマネジメントについて学ぶこともできました。その学びをシミュレーションシステムに反映しています」
また前述の通りバッテリーの在庫の関係から、開幕戦で問題が認められたバッテリーは修理が試みられているという。
折原エンジニアはこう説明した。
「バッテリーは修理しようとしていて、これについても進展が見られています。詳細はお話しできませんが、バッテリーのリペアには引き続き全力を尽くしています。このバッテリーの問題は振動とは関係がなく、内部の小さな問題ですので、修復できると思っています」
一方で中国GPに向けていくつバッテリーを持ち込んでいるのかについては、アストンもホンダも明言を避けた。
「スペアを確保するためにバッテリーのリペアに取り組んでいますが、正確な数は申し上げられません」と折原エンジニア。正確な数はさておき、メルボルンよりも多く持ち込んでいるのか……との質問が飛ぶと、クラックが「バッテリーの数について話して何か意味があるのだろうか? これは何度もしつこく探るような話題だとは思わない。メルボルンで状況は明らかにしているし、可能であればこの話はこれ以上続けるべきではないと思う」と制止した。
motorsport.comに入っている情報では、ホンダは上海に3つのバッテリーを持ち込んでいるようだ。つまり、スペアは1個ということだ。
またその後は、ニューウェイがホンダの人員の状況について昨年11月に知った話題などについても質問が出たが、これについて折原エンジニアは「今回の会見では、技術面に集中したいと思います。ご理解いただけますか?」と回答した。
ドライバーのストロールからは振動に際して「椅子に座ったまま感電しているよう」とのコメントもあったが、アストンマーティンは絶対的なパフォーマンスの面でも後れを取っており、アロンソがQ1で記録したタイムは、トラブルでノータイムになったドライバーと新規参戦キャデラック勢を除けば最も遅い17番手であり、トップとは2.5秒の差があった。
このように厳しい状況にあるアストンマーティンだが、PUサプライヤーのホンダは、PU自体の信頼性向上に最も焦点を当てているという。
またクラックは、ドライバーから落胆の声が挙がることに同情を示した。
「もちろん難しい状況だ。誰もこんな立場にはなりたくない」
「しかしドライバーも我々と同じチームの一員だ。共に解決策を探さなければならない」
「時には感情的になることもあれば、建設的な話ができることもある。ドライバーは毎セッションごとにこういったこと(メディア対応)をしなければならず、彼らが答えなければいけない質問、彼らに向けられる疑問の多くは答えにくいものだ。それらの質問には解決策や答えのないものも多いので、彼らがフラストレーションを感じるのも当然だろう」
そして中国GPでの目標は何なのか? 果たして完走を目指せるのか? これについてクラックはこう語った。
「1周1周が重要だ」
「レースに出る以上、まず目標はそこ(完走)だ。だから我々は努力する」
「改善のステップを踏んできたし、今週末もさらにステップを踏めるかトライする予定だ。それによって目標に近付くことができるだろうし、それは当然目標となる」

