ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会で、2022年の北京大会に続く金メダル獲得に挑んだパラクロスカントリースキーの川除大輝。現地3月11日の男子10kmクラシカル(立位)では、表彰台にあと一歩及ばず4位という結果だったが、小柄な体を目いっぱい使って滑る姿は、見る者の心をつかんで離さなかった。パラリンピック金メダリストとしての真摯な思いは、30分あまりの滑走にしっかりと投影されていた。
楽しみながら全力出せた
レース直後、川除はまず、結果について率直に語った。
「4位という結果、メダルを獲れなかったのは本当に皆さんに申し訳ない気持ちがあります」
それでも言葉はすぐ前を向いた。
「でも、楽しむというもう一つの目標は達成できたと思います。昨日(男子スプリントクラシカル)のレースから今日にかけて、楽しんで自分の全力を出せました。4位ですけど、自分の中では出し切れたという気持ちが大きいです」
男子10kmクラシカルに出場した川除大輝photo by AFLO SPORT
スプリントクラシカルでは、油断からスピードを緩め、まさかの準決勝敗退を喫していた。
「不甲斐ない滑りをしてしまいました」
痛恨の思いを晴らすためにも10㎞クラシカルでは、「本当に最後まで出し切ろう」と決めてスタートラインについた。
世界が「クレイジー」と称賛する滑り
2001年、富山県生まれ。両手足の指の一部がない先天性の障がいがある。ただ、競技を始めたきっかけは特別なものではなかった。
「最初は(周りの)みんながやっているからというのが大きくて、(スキーに)乗れるようになりたい、滑れるようになりたいという気持ちが強かったです」
転機となったのは中学生のとき。北海道旭川市で行われたワールドカップで世界のトップ選手を初めて目の当たりにし、そこから「自分もこの選手たちに勝ちたい」という思いが芽生えていった。
やがて国際舞台で戦うようになると、小柄な自分の滑りが海外の選手に強い印象を与えていることを自覚するようになる。
「海外の選手の一歩は僕の二歩くらいになるんです。その中で、海外の選手は僕の(足の)回転数が上りでもずっと変わらないことがおかしいと笑って言ってくれる。川除の滑りはクレイジーだ、くらいの勢いで言ってくれるのがうれしいですね」
日本代表の川除photo by AFLO SPORT
ポールを使わない滑走スタイルで誰よりも足を動かし、急坂を上り続ける。大柄な外国勢から見れば信じられないくらい高速で小刻みなステップが川除の武器であり、世界が驚く理由でもある。
