
私たちは、ぬいぐるみや赤ちゃん、子猫などを見ると「かわいい」と感じます。
こうした感情は、丸い顔や大きな目といった特徴によって引き起こされることが知られており、心理学では「ベビースキーマ」と呼ばれています。
しかし最近、「かわいさ」は見た目の特徴だけで決まるわけではないかもしれない、という研究結果が報告されました。
大阪大学大学院 人間科学研究科の研究によると、とても単純なある行動をするだけで、モノも人も「かわいく見える」ようになることが明らかになりました。
その方法とは「ただ触れる」ことです。
研究の詳細「は2026年2月19日に学術誌『PLOS ONE』に掲載されています。
目次
- かわいさは「見た目」で決まるのか
- 触れているだけで「かわいさ」が上がる
- 写真撮影での裏ワザにも便利
かわいさは「見た目」で決まるのか
これまで心理学では、「かわいさ」は対象の身体的・形態的特徴によって決まると考えられてきました。
その代表的な理論が「ベビースキーマ」です。
これは動物行動学者コンラート・ローレンツが提唱した概念で、人間が赤ちゃんや子どもをかわいいと感じる理由を説明するものです。
ベビースキーマには次のような特徴があります。
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頭が大きい
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額が広い
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顔が丸い
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手足が短い
これらの特徴は、赤ちゃんや子犬、子猫などに共通して見られます。
こうした見た目は人間の保護本能を刺激し、「世話をしたい」「守りたい」という感情を引き起こすと考えられてきました。
しかし近年の研究では、かわいさは単に「見た目の特徴」だけではなく、対象同士の関係性によっても影響を受ける可能性が指摘され始めています。
そこで今回の研究では、
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モノの見た目(ベビースキーマの程度)
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人とモノの関係(触れているかどうか)
この2つを同時に操作し、かわいさの評価がどう変わるかを調べました。
触れているだけで「かわいさ」が上がる
研究チームは、日本人198人とアメリカ人199人を対象にオンライン調査を実施。
参加者は、人とモノが写った写真を見て、そのモノや人物をどれだけ「かわいい」と感じるかを7段階で評価します。
実験では次のような条件が用意されました。
まずモノの種類として
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ベビースキーマが高いモノ:パンダやトリケラトプスのぬいぐるみ
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ベビースキーマが低いモノ:ビーズクッション
が用意されました。

さらに、人のポーズとして
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モノに触れている
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モノに触れていない
という条件を設定し、それぞれの組み合わせの写真を評価してもらいました。なお、人物の顔は写らないように撮影されています。
結果は興味深いものでした。
まず予想どおり、ぬいぐるみはクッションよりもかわいいと評価されました。これはベビースキーマの効果が確かに存在することを示しています。
しかしそれだけではありません。
人が触れているモノは、触れていないモノよりも「かわいい」と感じられたのです。
さらにもう一つ、予想外の結果がありました。
かわいいモノに触れている人は、その人自身もより「かわいい」と評価されたのです。
つまり、かわいさは対象そのものだけでなく、「誰がそれに触れているか」という関係性の中でも生まれる可能性が示されたのです。
興味深いことに、この結果は日本でもアメリカでも同じように確認されました。

