キャデラックのセルジオ・ペレスは、今季のF1は綺麗にスタートを切るのが難しくなったため、いずれ「大規模なクラッシュが起きる」と警告している。
2026年からF1は、レギュレーションが変更。昨年までパワーユニット(PU)の一部を構成していたMGU-H(熱エネルギー回生システム)が排除された。このことは、PUをよりシンプルかつ安価にするためであったが、思わぬ弊害も出てきた。それがターボのコントロールだ。
MGU-Hはターボのタービンの回転運動により発電する機構であった。しかし逆にMGU-Hをモーターとして稼働させることで、ターボの回転数をコントロールできるという側面もあったのだ。しかしMGU-Hが排除されたことにより、ターボのコントロールができなくなった。
このことは、決勝レースのスタートに大きな影響を及ぼした。停止状態ではターボの回転数が足りず、加速が鈍ることになったのだ。最悪の場合は、アンチストールの状態となってしまい、ほとんど加速できない……ということにも繋がりかねない。
開幕戦オーストラリアGPでは、その差が顕著に出た。バッテリーの蓄電状態の差もあったが、うまくスタートできたマシンとうまくいかなかったマシンの間に、大きな差が生じた。大失敗したのはレーシングブルズのリアム・ローソンで、ライツアウトとなってもほとんど動けず……後続のフランコ・コラピント(アルピーヌ)があわや追突というシーンであった。
キャデラックから今季F1に復帰したペレスは、この問題は大変に深刻だと語る。
「残念だ」
ペレスは中国GPの開幕を前にそう語った。
「こういうのもあんまり良くないが、大規模なクラッシュが起きるのは時間の問題だ」
「今のPUは、スタートするのが非常に難しい。様々な要因によって、良いスタートになることもあれば悪いスタートになることもある。ローソンに起きたように、アンチストールに入ってしまう可能性もある。そうなると非常に危険だ。なぜならF1マシンは、スタートから2〜3秒で、極限のスピードに達するからね」
「だから難しい問題だ。その点についてどうしたらいいのか分からない。新しいエンジンは、ただただスタートさせるのが難しいんだ」
この問題は、バーレーンでのプレシーズンテストの時から指摘されていた。その結果スタート前に、5秒の”プレスタート”時間が設けられ、各ドライバーがターボの回転数を十分に上げることができるようになった。
あわや大事故を起こすところだったコラピントは、当時のことをこう語っている。
「レース後にオンボード映像をみたら、予想以上に(ローソンに)近くて、さらに不安定だった」
「一般的に、起きると予想していたこと、危険性がわかっていたこと、そして全てのチームが抱えていた問題が浮き彫りになった」
「様々な状況で、こうしたことは注視すべきことであり、危険な状況になる可能性もあると話し合っていた。そして実際にそういうことが起きた。幸いにも僕はそれを避けることができ、レースを完走することができた」
コラピントは、自身の出来事により、現時点での議論が加速することになったと考えている。
「すでに200km/hほど出ていた」
そうコラピントはいう。
「かなり速かったんだ。ブーストが効きはじめ、エネルギーが供給されると、大きなパワーが生まれてとても速く走れるんだ」
「問題を抱えているマシンと正常に走っているマシンの間には、大きな速度差がある。FP2だったと思うけど、ルイス(ハミルトン/フェラーリ)と危うい場面もあった」
「メインストレートでゆっくり走っていたつもりだったんだけど、こういう速度差は常に起きるモノなんだと思う」

