「診察のために口を開けて、舌を出して」。歯科医師によるその指示は、治療ではなく、卑劣な性暴力への合図だった。静岡市駿河区の歯科医院で、診察台のリクライニングを倒し、患者の目にタオルをかけて視界を奪う――この「無防備な密室」を舞台に、49歳の歯科医師による執拗なわいせつ行為が繰り返されていた。
監視カメラがない密室での犯行、スマホから…
不同意わいせつの罪などで逮捕・起訴されたのは、歯科医師の原田孝行容疑者(49)=静岡市駿河区小鹿=である。捜査関係者は、これまでの経緯について次のように説明する。
「被疑者は計3回にわたって逮捕・送検されています。1回目と2回目の逮捕は、同一の20代女性(被害者Aさん)に対する不同意わいせつ容疑によるものです。当初、11月中旬の犯行が特定されて逮捕に至りましたが、その後の捜査で10月中旬にも同様の行為を行なっていたことが判明し、再逮捕となりました」
事件の端緒について、大手紙の社会部記者はこう明かす。
「事態が表面化したのは、被害に遭った20代の女性Aさんの訴えでした。女性は診察時に抱いた強い違和感を家族に相談し、これを受けた家族が『娘が治療中にわいせつな行為をされたようだ』と110番通報したのです。いずれの犯行時も、診療室内には容疑者以外にスタッフはおらず、意図的に密室状態を作り出していた可能性が高い」
さらに捜査が進む中で、別の被害も明らかになった。前出の捜査関係者は続ける。
「3回目の逮捕では、別の18歳未満の被害者(Bさん)に対するわいせつ行為に加え、その様子を動画で撮影していたことから、性的姿態撮影罪などの容疑も加わっています。院内に監視カメラがない密室での犯行でしたが、被害者の親御さんからの相談をきっかけに事件が発覚し、その後のスマートフォン内の動画データの解析によって余罪が裏付けられました」
「私がやりました、その通りです」「動画が残っているのならそうだと思う」
起訴状や捜査関係者の証言によれば、原田容疑者の手口は極めて計画的だった。診察台のリクライニングを倒し、患者の顔にタオルをかぶせて視界を奪ったうえで、歯科医師としての立場を悪用して「指示」を出していたという。捜査関係者は、その具体的な様子を次のように語った。
「犯行の手口は一貫しており、診察台でリクライニングを倒した際、患者の顔にタオルをかぶせて目隠しをした状態で行われていました。被疑者は『診察のために口を開けて、舌を出して』と指示し、抵抗できない状況で自分の陰部を突っ込むなどのわいせつな行為に及んでいたことが分かっています」
社会部記者は、さらなる計画性についても指摘する。
「2回目の逮捕事案では、男が休診日を狙って被害女性を一人で呼び出し、二人きりになれるタイミングを画策して犯行に及んでいたという、極めて計画的な実態が浮かび上がっています。医療行為を装った卑劣な犯行が繰り返されていました」
原田容疑者の罪の認否は、逮捕を重ねるごとに変化を見せているという。捜査関係者は、その曖昧な供述内容についてこう述べる。
「容疑者の認否については、1回目の逮捕時には『私がやりました、その通りです』と全面的に認めていました。しかし、2回目の逮捕では『勘違いです』と否認に転じ、3回目については『動画が残っているのであればそうだと思います』といった曖昧な供述を続けています」
現在、被害に遭った女性たちは精神的に甚大なダメージを受けており、原田容疑者への厳正な処罰を強く求めている。事件発覚後、警察には他にも「自分も被害に遭ったかもしれない」という相談が数件寄せられているという。捜査関係者はこう危機感を募らせる。
「逮捕後には相談が数件寄せられており、警察はさらに余罪があるものと見て慎重に裏取りを進めています。被疑者のスマートフォンには疑いのある動画がまだあり、女性の顔が映ってない動画も多々ある」

