
フランスの各地に今も残っているオテル・ディウ(Hôtel-Dieu、直訳すると「神の館」)と名のついた建物は、かつて修道女たちが病人を看護した慈善病院でした。
現在、建物の用途は博物館やイベント会場、公民館等々街によって様々。
そんなオテル・ディウの一つが人口2万4000人弱、フランス東部の町ドール(Dole)にあります。
ドールの中心街の端、運河の畔に静かに佇み、親子や子供たち、学生たちが定期的に出入りをしているのを見るとうまく運営されているようです。
現在の建物の主な用途は、市立図書館とカルチャースペース。
さて、この小さな町の図書館、何の変哲もない入口のドアをくぐった先にあるスペースは普通の図書館とは一味も一味も違っています。
入り口にある受付カウンターの横の通路を入ると、中央に美しく細く伸びる木の階段、階段の左右に整然と並ぶ本棚の木の縦横のライン、そして吹き抜けの高い天井に配置された木枠のコントラストにしばし見とれることになります。
もう一つの大きな特徴は、図書館の内部にオテルデ・ディウ時代そのままの内装が一部残されていること。
ステンドグラスから差し込む柔らかい光が射し、ガラス戸の内側のこのスペースは厳かな空気で満たされている、と感じられます。
Tradition et modernité 、「伝統と現代性」という言葉は良く聞きますが、このドールの図書館が持つ、過去と現代が共存する不思議且つ快適な空間は他ではなかなかお目にかかれないでしょう。
係の人に「図書館内の写真を撮っていいですか」と聞くと満足そうに「どうぞお取りください」とのお返事。
こんなに素晴らしいデザインを考え、形にしたドール町の人々に拍手を送りたくなる図書館訪問です。

