将来的にメジャーで成功する可能性を秘めた日本人投手は誰か。カンザスシティ・ロイヤルズの国際スカウト駐日担当を務める大屋博行さんが、いま最も注目しているのが阪神・才木浩人だ。
恵まれた体格と成績に加え、「真っ向勝負」を貫く投球は、まさにMLB向きと言える。現実的な渡米ルートとなるポスティングも含め、評価の理由を整理する。
新刊『メジャーで通用する選手の条件 スカウトは予言者であれ』より一部抜粋・再構成してお届けする。
今後、アメリカで活躍する可能性の高いプロ野球選手
過去にメジャーリーグで活躍した選手や、将来的にメジャーへ挑戦し、成功する可能性を秘めた選手についてさまざまな角度から解説を行ってきました。その中でも、将来的な可能性という部分で、私がいま最も強い関心を寄せているピッチャーが、2024年のシーズンオフの契約更改の場で、球団に対してメジャー移籍への思いを伝えた阪神タイガースの才木浩人投手です。
兵庫県の須磨翔風高校出身の才木投手は、2016年のドラフト会議で3位指名を受けてタイガースに入団しました。189センチの長身と、長い手足を生かしたダイナミックなフォームから投げ込まれるストレートは、伸びとキレを兼ね備えており、日本人投手の中でも明らかなスケールの大きさを感じさせます。
プロ入り後は紆余曲折がありましたが、2024年に自身初となる規定投球回に到達し、13勝を挙げる活躍を見せました。続く2025年シーズンも24試合に登板して12勝6敗、防御率1.55という圧倒的な数字を残し、最優秀防御率のタイトルを獲得しています。数字だけを見ても、リーグを代表する先発投手へと成長したことは明らかでしょう。
才木投手は将来を見据えてすでに代理人とも契約しており、本人の中ではかなり早い段階から「アメリカで勝負する」という目標が明確に定まっていたことがうかがえます。2025年のシーズンオフには、球団とメジャー移籍に関する話し合いも行われたようですが、最終的には実現しませんでした。
彼の海外フリーエージェント権の取得は最短で2030年となるため、年齢面(2026年に彼は28歳になります)を考慮すると、現実的な選択肢はポスティングシステムによる移籍になるでしょう。
球質、体格、投球スタイル、すべてがメジャー水準
私が才木投手に強く惹かれる理由は、そのピッチングスタイルにあります。彼の投球をひと言で表すなら、「真っ向勝負」です。
多くの好投手がコースぎりぎりを突く制球力でバッターを打ち取ろうとする中で、才木投手はストレート、スライダー、フォークのいずれにおいても、ホームベース上に力強く投げ込んでいきます。「打てるものなら打ってみろ」という意志がはっきりと伝わってくる強気の投球は、まさにメジャー向きだと言えるでしょう。
才木投手は2020年にトミー・ジョン手術を受け、長いリハビリ期間を経験しましたが、そこから完全復活を遂げた点も高く評価できます。
手術を経てもなお球威が落ちることなく、むしろピッチングに安定感と強さが増していることは、身体の強さと高い自己管理能力の証明でもあります。メンタル面でも大舞台に動じない落ち着きを備えており、アメリカの厳しい環境にも十分対応できるはずです。
球質、体格、投球スタイル、そして覚悟。そのすべてがすでにメジャー水準にある才木投手が、いつの日かアメリカのマウンドで堂々と勝負する姿を、私は心から楽しみにしています。彼が挑戦するその瞬間を、できるだけ早く見届けたいというのが、国際スカウトとしての率直な思いです。
文/大屋博行

