元技術職で3人の息子を育てる理系ママ・宮崎真理さんが、AIを家事と育児の領域で活用してみた。書籍『AI×家事 毎日バタバタな3児ママがAIを使ってみたら、一人で悩む時間が消えた。』では、誰でも実践できる60の活用例を紹介。AIを暮らしに取り入れたことで日常はどう変化したのか。著者の宮崎さんに話を聞いた。(前後編の前編)
なぜAIを家事・育児に取り入れたのか
――家事や育児にAIを取り入れようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
宮崎真理(以下同) 私がChatGPTに出会ったのは今から約3年前のことです。最初は、家事を楽にするために使おうなんて全く思っていませんでした。当時のAIはまだ日本語すらカタコトで、「変な日本語!(笑)」とツッコミを入れながら、遊び感覚で使う程度でした。
転機になったのは、当時勉強していたプログラミングとAIを組み合わせたときでした。例えば「子どもの習い事のメールを、夫のLINEに自動で転送する」という仕組みを、AIに相談しながら作ってみたんです。
AIに聞くと自分一人では書けないような複雑なコードも書けるようになって。「もしかして、家庭内のめんどくさい作業も自動化できるんじゃない?」と思いました。そこからどんどん、いろんな場面でAIを使うようになっていった感じですね。
――日常にAIを取り入れたことで、宮崎さんの生活はどのように変わりましたか。
「自分一人で抱え込まなくていい」と思えるようになったことです。今までも、一人で抱えきれないときは夫や家族に頼ることはありましたが、AIがあることで、もっと手軽に、24時間いつでも、ちょっとした思いや悩みを外に出せるようになりました。私にとっては大きな変化だったと思います。
――AIを使う頻度は、使い始めから今に至るまでで変わりましたか。
最初は、日常生活の中で読みたい英文を日本語に訳してもらうくらいしか使っていませんでした。でも今は、スマホのアプリの中でもChatGPTの使用頻度が一番高い。それぐらい使い倒してます。
――AIに関する書籍は数多くありますが、「家事」や「育児」に焦点を当てた本を書こうと思った理由はなんだったのでしょうか。
AIに関する書籍って、技術の応用や仕事の効率化などを紹介するものがほとんどで、普通の人が日常生活の中でどう活用できるのかという実用例は、あまりありませんでした。
AIに関するアンケートを見たとき、「AIを使っていない」と答えた人の多くが、「使うメリットがない」「役に立つと思わない」と回答していたんです。仕事で使う機会がなければ、どこでどう使っていいのか分からない人が多いことを知り、生活者視点で、日常の中で使える活用例を書きたいなと思いました。
家事は肉体労働ではなく、意思労働だった
――AIと家事はどんな点で相性がいいと感じていますか。
これまで私は、家事って“肉体労働”だと思っていました。でも実際は、すごく細かい“意思決定の連続”なんですよね。「今日は何を作ろう」「どの順番でやろう」という小さな判断が続く。それが意外としんどかったんだと気付きました。
だからこそ、ChatGPTが選択肢を提示してくれるおかげで、ゼロから考える負担が減りました。「どうしよう…」と考えたまま止まっていた時間がなくなり、選択肢から選んで、すぐに動き出せるようになった。
あとは仕事で使うよりも家庭で使ったときの方が失敗したときのリスクは低いと感じます。取り返しがきくので、「まあいいか」って笑って許せる。そういった意味で気軽に試しやすいです。
――逆にAIでは難しいと感じる点はどんなところでしょうか。
それはズバリ、物理作業ですね。例えば、洗濯物を畳んでくれたり、食器を洗ってくれたり…。実際に手足が生えて動くわけではないので、そのあたりは難しい。そこは、あと数年はかかるんじゃないかなと思います。

