静岡市駿河区の歯科医院内で、少女を含む診療中の女性患者に陰部をなめさせるなどのわいせつな行為を繰り返していたとして、3度の逮捕・起訴をされた原田孝行容疑者(49)。地元の名家に生まれ、歯科医師会の理事や市の審査会委員を務めるなど、地域医療の要職を担う「顔」を持っていた。知人や関係者は一様に「極めて真面目」「信じられない」と口をそろえた。
逮捕されたのは、会員総会の選挙によって選ばれた理事
「報道にあるような行為は、我々にとっても全くの想定外であり、未だに信じられない思いが強いです」
そう語るのは、静岡市歯科医師会のある幹部である。原田容疑者は2023年6月末から逮捕直後の2月4日まで、同会の理事を務めていた。理事は、会員総会の選挙によって選ばれるという。
静岡市歯科医師会によると、原田容疑者は「母子保健部」の担当理事を任されていた。行政が行う1歳半検診や3歳児検診の調整、障害者歯科センターとの連携など、責任の重い職務を2期にわたって担っていたという。
「会での勤務態度は、一言で言えば『極めて真面目』でした。行政とのやり取りも誠実でしたし、パンク状態だった障害者歯科の調整業務でも良好な実績を上げていました。地域の歯科医療の発展に尽力してくれていたと思っていたんです」(同前)
原田容疑者は同歯科医師会と行政が運営をする「救急歯科センター」の当直にも協力していた。幸いにも、そこでの問題行動は確認されていないという。幹部はその理由を次のように指摘する。
「救急センターはスタッフが非常に多いですから。何より我々の業界には『患者さんと絶対に一対一になってはいけない』という大原則があるんです。これはトラブル防止のためでもあり、修業時代からコンプライアンス研修に至るまで、死ぬほど叩き込まれる鉄則。
原田さんは理事まで経験した人間ですから、この原則は百も承知だったはずです。診療という信頼関係を悪用し、あえて休日や二人きりのタイミングを狙って行為に及んだとすれば、それは非常に卑劣で同じ歯科医師として許しがたい」
「一学年200人以上いる中でトップ10には入る頭の良さでした」
原田容疑者の公的な活動は、歯科医師会だけにとどまらなかった。昨年6月からは、静岡市障害者支援推進課が担当する「障害支援区分認定等審査会」の委員にも委嘱されていた。
「この審査会は、市民の方が障害福祉サービスを受ける際に、どの程度のサービスが必要かを専門的な観点から審査し、判定を下す公正・中立な場です」(同課担当者)
35名の委員が5名ずつのグループに分かれ、審査会は平日の夜間に1、2ヶ月に1回程度の頻度で開催される。原田容疑者は去年の6月から、9ヶ月ほど委員を務めていた。
「事務局を通じて専門的な評価を仰いでいた立場として、このような事案が起きてしまったことは非常に遺憾であり、残念でなりません。1月下旬に事案を認知してから、速やかに解任に向けた動きを取っております。市民の皆様が福祉サービスを安心して受けられるよう、その根幹を支える審査会の委員にこのような人物がいたということは、市としても重い事実だと捉えています」(同前)
公的な顔とは別に、地元の知人が知る原田容疑者の素顔は、また異なるものだった。原田容疑者の中学校時代の同級生は「正直よくわからない人でした」と話す。
「実家はこの辺りでは有名な地主で、父親も名士として知られていました。貸し倉庫業などを営んでいたそうですね。原田さん自身は小学校の頃、一学年200人以上いる中でトップ10には入る頭の良さでした。運動系ではなく、目立たないけれど勉強ができる落ち着いた子という印象です」

