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不振のイチローが放った優勝を決める決勝打にアメリカ初優勝を呼び込んだスーパーキャッチ――WBC歴代大会名勝負6選

不振のイチローが放った優勝を決める決勝打にアメリカ初優勝を呼び込んだスーパーキャッチ――WBC歴代大会名勝負6選

現在、日本のみならず世界各国を熱狂に包んでいるワールド・ベースボール・クラシック(以下WBC)。今大会もそうだが、過去5回においても多くの名勝負があった。今回はその中から6つのゲームを紹介しよう。


■“太陽の国”がスーパースター軍団にリベンジ果たす(2006年3月16日/アメリカ対メキシコ)

 メキシコが土俵際で野球の母国相手に大金星を挙げた。2次ラウンドでは韓国と日本に連敗して早々と追い込まれ、次に相対するアメリカはデレク・ジーターやアレックス・ロドリゲスらメジャーを代表するスーパースター揃い。先発マウンドにはサイ・ヤング賞獲得7度のロジャー・クレメンスが上がり、タレントの比較では勝負にならなかった。

 だがメキシコは3回、チームの顔であるホーヘイ・カントゥのセンター前適時打で幸先良く先制。直後に同点とされたが、5回にカントゥが今度は内野ゴロの間に三塁走者を生還させて勝ち越しに成功する。投手陣も8人の継投で1失点のみと好投。豪華打線を相手にのらりくらりとヒット3本に抑えた。この試合の結果、両軍を含む3チームがグループ1勝2敗で並んだ。そのうち、首の皮一枚でつながっていた日本の失点率が最も低く、一度は閉ざされたと思われた準決勝への道が開かれることになった。
 ■メジャーリーガーのいないオレンジ軍団が本命を2度撃破(2009年3月10日/ドミニカ共和国対オランダ)

 メジャーリーガーのいないオランダが、一度ならず2度も優勝候補のドミニカ共和国を破るとは、誰が予想できただろうか。まず、グループ初戦の両軍初顔合わせではオランダが初回に3点を先制し、2点を返されながらも逃げ切るアップセットを演じた。

 そして、3日後の再戦では延長10回に入っても互いに得点が入らず、11回には粘投のオランダ投手陣がついにエラーで先制の1点を許す。しかしその裏の攻撃で、打線が剛腕カルロス・マーモルを連続安打で攻め立てて同点に追いつく。さらに牽制悪送球で走者が三塁へ進むと、それまで無安打3三振のユレンデル・デカスターが痛烈な打球を放ち、相手一塁手のグラブを弾く(記録は失策)間にサヨナラのホームを踏んだ。無名選手で構成されたチームが演じた「史上最大の番狂わせ」が呼び水になったか、13年以降はメジャーリーガーが続々とオランダ代表に合流している。

■“キャプテン・アメリカ”がチームを救うサヨナラ打(2009年3月17日/プエルトリコ対アメリカ)

 アメリカのデビッド・ライトが9回1死満塁から放った一打はクリーンヒットではなかった。逆方向の右翼手前に落とした打球だったが、「何としても勝ち抜く」という執念が乗り移ったように見える一打でもあった。野球発祥国の威信を示すべく大会に臨んだアメリカだったが、第2ラウンド初戦はプエルトリコに11対1で7回コールド負けの屈辱。敗者復活1回戦を制して再びプエルトリコと顔を合わせたが、リベンジマッチも2回に先制され、6回にも勝ち越される苦しい展開が続いた。

 それでも、アメリカは2点を追う9回に1死満塁のチャンスを作る。そこから押し出しで1点差に詰め寄ると、ライトのタイムリーヒットで同点とサヨナラの走者が還り、しぶとく勝利をもぎ取った。“キャプテン・アメリカ”と呼ばれた殊勲者はワールドシリーズにも出場経験があるが、「国を代表してUSAチャントを聞く」機会は特別な意義があると自身のキャリアを振り返っている。
 ■稀代の安打製造機が大会連覇を手繰り寄せる(2009年3月23日/日本対韓国)

 日本の2大会連続優勝を決定付けたイチローのタイムリーヒットは、WBCを象徴する名場面として今でも語り継がれている。この大会では調子が上がらず苦しんだが、3対3で迎えた延長10回2死二、三塁の場面で韓国のイム・チャンヨンが繰り出すボールをことごとくカットし、8球目をセンター前へ弾き返す。打球がセンターへ転がる間に三走の内川聖一が勝ち越しのホームを踏み、続いて二塁走者の岩村明憲も生還。緊張から解き放たれたベンチが感情を露わにし、固唾を飲んで見守った観衆の歓声に球場中が包まれた。

 大会屈指のハイライトを演出した当人は「(ダッグアウトを見たら喜ぶ味方に)こたえなきゃいけないので見なかった」と、クールなスタンスは崩さなかった。先発を務めた岩隈久志のゲームメイクや内川の好守も光り、ダルビッシュ有が試合を締めたシーンも印象深い。それでも、他の誰よりイチローが役者の違いを見せつけたと記憶される伝説的な試合になった。

■ゴールドグラブ常連が魅せた流れを呼ぶスーパーキャッチ(2017年3月18日/アメリカ対ドミニカ共和国)

 第2ラウンドF組の最終戦は、いずれも大会優勝の本命と目されたアメリカとドミニカ共和国が準決勝進出を賭けて激突した。プエルトリコ、ベネズエラとともに形成された“死の組”と形容するにふさわしいグループにおいて、ともに負ければ敗退の状況で、珠玉のプレーを披露した選手がアメリカのアダム・ジョーンズだ。

 4対2と2点リードで迎えた7回、相手の先頭打者マニー・マチャドが放ったセンター方向への打球は、スタンドへ飛び込むには十分な飛距離と思われた。ところが、ゴールドグラブ獲得4度を誇る名手ジョーンズが懸命に左腕を伸ばして跳躍すると、ボールはグラブに収まった。その直後にはソロホームランで1点差に詰め寄られているため、ジョーンズの「捕れると思わなかった」スーパープレーがなければ試合の流れは一気にドミニカへ傾いていたかもしれない。8回にはアメリカが2点を追加して、6対3で勝利。大一番を制した勢いそのままに、母国は4度目の正直で大会初優勝を飾ることとなった。
 ■名シーン続出の大会史に刻む大逆転劇(2023年3月20日/メキシコ対日本)

 日本の3大会ぶり決勝進出を決めたのは、苦しんだ村上宗隆のバットだった。1点を追う9回無死一、二塁から、真ん中高めに浮いた速球を叩いた打球は相手センターの頭を越えてフェンスを直撃。イニング先頭で二塁打を放ち、塁上でベンチを鼓舞していた大谷翔平がホームへ生還すると、そこからわずかな間に周東佑京がサヨナラのホームを踏んだ。

 これに先立つ7回、吉田正尚が放った同点3ランも、逆転勝ちへの道標になる貴重な一撃だった。低めのボールをすくうようにして右翼ポール際へ運んだ技術は見事と言う他にない。対したメキシコもルイス・ウリアスの先制3ランやランディ・アロザレーナのどや顔キャッチなどで、幾度も日本を窮地へ追い込んだ。日本にとっては先発の佐々木朗希と継いだ山本由伸が打たれ、理想的な展開ではなかったかもしれない。だが、点の取り合いになっても打ち勝てると、日本野球の進歩を証明できた一戦でもあるだろう。

文●藤原彬

【著者プロフィール】
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
配信元: THE DIGEST

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