【スージー鈴木の週刊歌謡実話第26回】
研ナオコ『夏をあきらめて』
作詞:桑田佳祐
作曲:桑田佳祐
編曲:若草恵
1982年9月5日発売
“桑田歌謡”ヒットの1982年
もう先週のこととなりますが、2月26日、我らが桑田佳祐が70歳、古希となったのです。
出演したことはないはずですが、桑田佳祐、ついに「古希ポップ」になったということです(テレビ&ラジオ番組『コッキーポップ』を知っている人だけ苦笑してください)。
というわけで、桑田佳祐古希記念ということで「桑田歌謡」を取り上げようと思います。
といっても、すでに3曲も取り上げている「吉田拓郎歌謡」に比べて「桑田歌謡」は、数が少ない。
代表例は、中村雅俊『恋人も濡れる街角』(1982年)でしょうが、今回は『恋人も~』の4日後にリリースされた、研ナオコ『夏をあきらめて』を取り上げてみたいと思います。
言うまでもなく、サザンオールスターズ同年リリースのアルバム『NUDE MAN』収録曲をカバーしたものです。
研ナオコ『夏を~』は、『恋人も~』ほどではないですが、結構売れまして、約38万枚を売りきり、チャート最高5位まで上がったのです(ちなみに『恋人も~』も同じく最高5位)。
同年1月発売、サザンの『チャコの海岸物語』が大ヒットして、その余勢をかって「桑田歌謡」も売れたという感じでした。
ちなみに『チャコ~』は最高2位止まり。サザン初の1位は『さよならベイビー』(’89年)を待たなければなりません。
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大盛り上がりだった’82年の『NHK紅白歌合戦』
さて、研ナオコという人は歌も達者な人で、その歌唱力で70年代後半には「中島みゆき歌謡」をヒットさせ(代表は’76年、チャート1位に輝いた『あばよ』)、世間に中島を紹介する役割を果たしたのです。
ただ研ナオコ版『夏を~』は、ちょっと歌い方のクセが強すぎて、私はやはりサザン版を選びたくなります。どんな歌い方のクセだったか、それはフジテレビ系『ものまね王座決定戦』における清水アキラの物まねを思い出してください(ここも知っている人だけ苦笑を)。
というサザン『チャコの~』と研ナオコ『夏を~』ですが、’82年のNHK紅白歌合戦で続けて歌われます。
このときのサザンは、そりゃもうお下品。三波春夫のお下品な物まねをしながら、お下品な化粧、お下品なポーズで、26歳・桑田佳祐、やりたい放題。
また間奏で桑田佳祐自身のMCもまた大変。
――「国民の皆様、ありがとうございます。我々放送禁止も数多くございますが、こうやって、いけしゃあしゃあとNHKに出させていただいております。とにかく、受信料は払いましょう! 裏番組はビデオで見ましょう!」
そんな大騒ぎに続いて、しずしずと研ナオコが出てくるのですが、紅組司会・黒柳徹子の紹介がいい。
――「桑田さん、この曲をありがとう。今年この曲で研さんは大ヒット。愛のおつかい『E.T.』という新しいニックネームについては親しみを感じるそうです」
おお、映画『E.T.』もこの年だったか。清水アキラ同様、こちらもかなり似てるな…。
「週刊実話」3月19日号より
スージー鈴木/音楽評論家
1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。
