昨季NBAを制したオクラホマシティ・サンダーで、名実ともにエースを務めるシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)は、今季も含めて現在4シーズン連続で平均30点以上を記録するなど、リーグトップスコアラーとしての地位を確立した。
2018年のドラフト1巡目11位でシャーロット・ホーネッツから指名された男は、ロサンゼルス・クリッパーズで1年目を過ごし、オフのトレードでサンダーへ移籍。
クリッパーズでは平均10.8点、2.8リバウンド、3.3アシスト、1.17スティールと、まずまずのスタッツを残したが、在籍はわずか1シーズンにとどまった。ただ、その期間にキャリアを形成する上で貴重な経験を積んでいた。
「シェイには私のすべて、持ちうる限りのすべてを注ぎ込んだ。彼はまさに私の大型版なんだ。身体もスピードも上だからね」
そう語ったのは、当時クリッパーズでアシスタントコーチ(AC)を務めていたサム・キャセール(現ボストン・セルティックスAC)だ。昨年6月のNBAファイナル期間中に『ESPN』へ公開された記事の中で、当時ルーキーだったSGAと練習を重ねて、ミッドレンジジャンパーを磨き上げたと言及した。
キャセールは身長191cmの技巧派ポイントガードとして、NBAで15年にわたってプレー。相手と絶妙なズレを突いてクイックリリースで放つジャンパーやポストプレーを武器に、キャリア平均15.7点をマークした。
SGAがNBA入りした時、リーグは3ポイント全盛へと移行し、ペイントエリアと3ポイントラインから効率良く攻めて高得点を奪うチームが台頭。キャセールは当時をこのように回想する。
「現在のバスケットボールでは、ミッドレンジのショットを許すことが多い。15フィート(約4.5m)のプルアップショットを打たせてくるんだ。そこで私は、初日から彼にこう言ったんだ。『もし相手から与えてくれるなら、このショットで圧倒的な強さを身につけよう。相手が君にこのショットを与えてくれるのだから、リーグで唯一、このショットで圧倒的な強さを発揮できる選手になろう』とね。
アナリストを務めるような連中は、悪いショットだと言うかもしれないけど、彼にとってはそうじゃない。時間をかけて何日も同じ練習を重ねてきたんだ。『これが君の生命線になる』と伝えたのさ」 その後サンダーでオールスター選手へ進化を遂げたSGAは、昨季平均32.7点で初の得点王に立ち、シーズンMVPも受賞。プレーオフも勝ち上がってサンダーをリーグの頂点へ導き、ファイナルMVPにも輝いた。
198cm・88kgの長身ガードは、今季もここまでリーグ2位の平均31.8点に4.5リバウンド、6.6アシスト、1.36スティールの好成績。チームもリーグベストの52勝15敗(勝率77.6%)を記録している。
現地時間3月12日(日本時間13日)のセルティックス戦ではゲームハイの35得点、9アシスト、3ブロックと爆発。2024年11月1日から続くレギュラーシーズンでの連続20得点超え試合数を127へ伸ばしたことで、ウィルト・チェンバレン(元サンフランシスコ・ウォリアーズほか)が保持していた126試合を抜き、歴代最長記録を打ち立てた。
約63年ぶりに“伝説の巨人”の記録を塗り替えた27歳は、自身の武器であるミッドレンジジャンパーについて、自身が影響を受けたレジェンドたちの名を挙げて感謝を語った。
「ミドルレンジのジャンプショットを好きになったのは、コビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)やマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)、アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)といった選手たちの影響でね。彼らはバスケットボールというゲーム、そしてプレースタイルそのものを変えたと言っても過言ではないんだ。
彼らは大好きな選手で、手本にしている選手たちでもある。俺は今のNBAでそれを実践しようとしている。影響を受けたというなら、それは彼らになるだろうね」
SGAが挙げた3人はいずれもNBA史に名を残す名ガードたち。時代柄3ポイントの試投は多くなかったが、強烈なドライブからの華麗なフィニッシュや、ミッドレンジから繰り出すプルアップやフェイダウェイのジャンパーでゴールを量産した。
現役にも、ケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)やデビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)、デマー・デローザン(サクラメント・キングス)といったミッドレンジジャンパーの使い手がいるものの、SGAがその筆頭なのは間違いない。
ガードながらフィールドゴール成功率55.4%と高い精度を誇り、制限区域内で成功率75.6%を記録する傍ら、10~16フィートから最多の300本を放って178本成功と、59.3%で沈めているのだから驚異的でしかない。
SGAはまだ27歳。ここからさらに成長を遂げる可能性も十分ある。ミッドレンジジャンパーをマスターしたサンダーの顔が、どこまで進化するのか楽しみだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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