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“かつての師”鬼木達監督率いる鹿島に痛い敗戦。皮肉にも映ったゲームを経て川崎はどう前に進んでいくのか

“かつての師”鬼木達監督率いる鹿島に痛い敗戦。皮肉にも映ったゲームを経て川崎はどう前に進んでいくのか


[J1百年構想リーグEAST第6節]鹿島 1-0 川崎/3月14日/メルカリスタジアム

 スタジアム内につながる通路の前で長谷部茂利監督がまっすぐに立ち、サポーターへ挨拶する選手たちを見つめる。

 鹿島に0-1の敗戦。シーズン中のひとつの黒星であるが、ずっしりと重くのしかかる一敗でもあった。かつて川崎で黄金時代を築いた鬼木達監督が率いる鹿島に敗れた悔しさは大きいはずで、パフォーマンスの質でも後手を踏んだと言わざるを得ない。

 キャプテンの脇坂泰斗も「(丸山祐市、大島僚太ら)選手が戻ってきたなかで勝ちに持っていきたかったと言いますか、守備のところで整理されているなかでの鹿島さんとの試合で、非常に勝ちたかったですが、力負けだと思います」と振り返る。

 一方でポジティブな点を探せば、脇坂の言葉通り、守備の改善が挙げられる。開幕戦の柏戦以降、90分での勝利が遠いなかで、「一言、残念な結果だった。そう思います。選手たちは攻守に渡って切り替えのところも力を出していた場面もありましたし、ただ、チャンスの時に、ここで取れそうだなという時に取れなかった、マズイぞという時に耐えていましたが、あの1失点は彼らの形ですね。日本中が知っている形でやられてしまった。非常に残念です」と語った長谷部茂利監督に今後への改善策を聞けば、こう返ってくる。

「相手にシュートを打たれているところを改善していきたいし、少しずつですが、簡単にシュートを打たれている、ペナルティエリアに入られるところは、良くなっているというか、改善しつつあるので、そこは継続してやっていかないといけないと思っています。

 また攻撃のところは得点が取れそうで取れないというところがあるので、チャンスを意図的に作っている場面はありますし、もう少しダイナミックさであったり、ゴールに向かう、相手が嫌がるような怖い攻撃をもっと出していけたらゴールにつながると思います。そこも改善点だと感じます」

 この日もCFラザル・ロマニッチ、トップ下の脇坂泰斗をスイッチ役に、鹿島を外に追い出すような組織的な守備を展開し、チャンスも作ったが、勝負所の79分にゴールをこじ開けられた。とはいえ、36歳のベテランCB丸山祐市、ボランチの大島僚太が先発で戦列復帰した点も好材料で、チームとして前半は耐え、後半には良い時間帯も作った。選手たちも一様に悔しさとともにその点をポジティブに話したが、指揮官は負傷者の復帰を喜びつつ、こうも続けた。

「ただ本人たち(復帰したふたり)が分かっていると思います。今日のゲームで勝たなければ、勝点を積まなくてはいけないゲームだったので、厳しい評価と、私自身もそうですし、選手自身も厳しい状況だと捉えるべきだと思います」
 改めて川崎として改善傾向にはある。ただ、勝利に徹する姿勢、ボールを奪われた際の切り替えのスピード、崩しの質を高めようとする意識、そのすべてを鹿島に上回られたとも言える。

 まだまだミスがあったとはいえ、一本のパス、ひとつのトラップにこだわり、勝利への飽くなき欲求、守備強度、攻守一体の切り替えの速さをより体現したのは鹿島であった。

 ひとつのミスに各々がアラートになり、後方からのポゼッションが上手くいかないと鈴木優磨が怒りをあらわにしながら意見をかわす。

 鬼木監督も「気持ちのこもったゲームを最初から最後までしてくれたと思っています。良い時間もあれば、苦しい時間もありましたが、苦しい時間にチームがひとつになってやるべきことをやり続けた。その結果、チャンスの時にしっかり決め切ろうと強い意志も表われていましたし、常に攻撃的で、守備も攻撃的でありながら、それでも相手に上回られれば、自陣で守るとか、そういう選手のなかでいろんなジャッジができてきていると思っています。ハーフタイムで戻ってきても相手のストロング、ウィークをしっかり把握していましたし、成長を感じるゲームになったと思います」と目を細める。

 一方の川崎としては、FC東京との多摩川クラシコに敗れた際のCB谷口栄斗の言葉が話題になったが、ひとつのパス、トラップ、守備対応に徹底してこだわれているのか、改めて問われるゲームになった印象だ。冒頭の長谷部監督の言葉どおり、守備面の組織的な対応は修正されているが、リーグのトップに戻るための道はまだまだ険しいことが、この日の鹿島戦で示されたと言える。

 かつての“師”にそれを証明されるのもなんだか皮肉な光景でもあった。

 前述通りこの日の鹿島もミスは多かった。その点を鬼木監督に聞けば、こう返してくれたが、鹿島は翌日からその課題に取り組み、また上積みを果たすに違いない。

「取ったあとのボールもそうですし、少し最初がフリーな分、フリーな時に時間を使いすぎてしまったり、なかなか難しい展開になったり、あとはシンプルに揺さぶれば、難しくない状況のところで、少し判断が遅れてしまうとか、パスのズレは判断からくるものが多かったと思います。あとはもっと細かいところで言えば、ボール一個分、しっかり前進できる、足に出してあげるなどすれば、もっとスムーズに行けるシーンは本当に多くあったと思うので、そこは自分たちがこだわらないといけない部分です。ただ多少なりとも相手の圧があったと思います。速い攻めを何度かくらっていたシーンもあったので、そういったところで、気持ちと技術が追い付いてくれば良いかなと思います」

 昨季から川崎を率いる長谷部監督は、選手の良さを引き出しながら、自らのスタイルを落とし込もうと真摯にチームに向き合っている印象だ。

 ただ、心配なのはクラブとして、今後、どんなサッカーを展開していきたいのか指針が欠けているように感じることである。

 もっとも、今大事なのは、川崎でよく使われる“人のせいにしない。モノのせいにしない。自分にベクトルを向ける”ことだろう。

 クラブ一丸となってどう“新生・川崎”を築いていくのか。その志を少しずつピッチで表現してくれることに期待したい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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