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托卵する女性はどのくらいいるのか?Y染色体解析を組み合わせた大規模調査

托卵する女性はどのくらいいるのか?Y染色体解析を組み合わせた大規模調査

托卵の真相が示す人間社会の本質

托卵の真相が示す人間社会の本質
托卵の真相が示す人間社会の本質 / Credit:Canva

今回の調査から浮かび上がるのは、人間における「托卵」が一律に高いわけではなく、その頻度が社会経済的背景や居住環境によって大きく変動するという点です。

平均的には1~2%ほどと非常に低いものの、都市部でかつ低所得層となると5~6%ほどに上昇するケースが存在し、社会的な文脈によって行動様式が変わることを示唆しています。

(※既存の研究では托卵率が50%を超える種ではオスは自分の子供に投資しなくなるとされています)

なぜ都市の低所得層ほど托卵率が高まるのかについては、人口密度が高い地域ほど出会いの機会が増すことや、居住環境の匿名性により隠しやすいことなど、いくつもの要因が考えられます。

また、経済的に厳しい立場であれば、パートナー以外の男性から追加的な資源やサポートを得たいと考える心理が働くことも否定できません。

逆に、ある程度の富や社会的地位がある夫は「相続財産を守りたい」という強い動機から、配偶者の不倫を未然に防ぐ行動を取るため、托卵が起こりにくいとの見方もあります。

さらに宗教背景よりも、人が暮らす環境や家庭の経済力によって差が生じるという結果からは、文化的・宗教的な規範を超えた根源的な「利害関係」や「機会の多さ」が影響している様子がうかがえます。

もちろん、この研究は主にベルギーとオランダを舞台としたものですので、世界のすべての地域に同じパターンが当てはまるわけではありません。

たとえば、近代的なコントラセプション(避妊)の普及度合いが異なる社会や、複数のパートナーを容認する文化を持つ社会などでは、托卵率がまた変わってくる可能性があります。

とはいえ、「婚姻関係の内実」は人類の性行動の根幹を知るうえで非常に重要です。

こうした大規模な遺伝子系譜研究は、国や文化を越えて比較を行う余地がまだまだ大きく、今後の研究次第では、私たちが普段あまり意識してこなかった人間関係のあり方や、社会構造の特質がさらに明らかになるかもしれません。

また、この研究だけでは、それぞれの母親の意図や夫側の認知度を完全に把握できたわけではないため、今後はそうした視点を含めたさらなる調査が期待されます。

元論文

A Historical-Genetic Reconstruction of Human Extra-Pair Paternity
https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.09.075

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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