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フィッシュマンズ『宇宙・日本・世田谷』はなぜ名盤なのか…33歳で急逝した佐藤伸治が描いた“孤独の音楽”

フィッシュマンズ『宇宙・日本・世田谷』はなぜ名盤なのか…33歳で急逝した佐藤伸治が描いた“孤独の音楽”

フィッシュマンズが辿り着いた静かな到達点

その発展型であり、完成型とでも言えるアルバムが『宇宙・日本・世田谷』だろう。佐藤自身がこのアルバムについて「地味だ」と語るほど、全体を通して静けさが感じられる。

一曲目の『POKKA POKKA』が始まり、ラストの『DAYDREAM』でアルバムは閉じられる。何もないこと、退屈な日々こそが愛おしい、そんな世界観が描かれている。

しかし、シングルとしてリリースされた『MAGIC LOVE』では、誰かとつながることを決して拒絶してはいない。

佐藤の描く歌詞の世界が、聴く者の孤独に寄り添い、心の深部に染み入る。そして浮遊感のあるサウンドが、いつのまにか宇宙空間を漂いながら、日本列島の明るい光に白く浮かび上がる都心部や、暗く深く沈む山間部などを俯瞰しているような気分にさせられるのが、このアルバムの、まさにマジックなのだ。

佐藤は、晴れた日に外で歌を作ることがよくあったという。世田谷の北沢公園で、よく曲作りをしていたそうだ。

世田谷で生まれたイメージが音と絡まって、平坦な地平から空へとつながり、やがて宇宙に行き着いた。それは佐藤伸治自身の内的世界そのものだったのかもしれない。そうして生まれたのが『宇宙・日本・世田谷』という音世界だった。

1対1で向き合える、ひとりの時間に聴きたい、とっておきのアルバムなのだ。

文/阪口マサコ 編集/TAP the POP

参考/引用
『フィッシュマンズ 彼と魚のブルーズ』(川崎大助著/河出書房新社) 

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