WBCの喧騒をヨソに、開幕が近づくプロ野球において、セ・リーグにおける「阪神連覇」はひとつの大きな関心事だ。藤川球児監督は2年目の今季、どんな采配を展開するつもりなのか。
藤川監督の考え方の一端が垣間見えるのが、オープン戦だ。昨年31セーブの岩崎優を守護神に据えつつ、モレッタや及川雅貴ら終盤候補の投手が試合ごとに顔ぶれを変えながら起用されている。左アキレス腱断裂で石井大智が長期離脱したことも、ブルペン編成に影響を与えている。工藤泰成や木下里都ら右の速球派の台頭の余地を残しつつ、開幕に向けてベストな組み合わせを探っている段階だ。
藤川監督は勝ちパターンの早期固定を否定しており、開幕後の状況を見ながら柔軟に運用していく考えを示している。
阪神ファンならすぐにわかることだが、この姿勢は岡田前政権とは大きく異なるものだ。岡田彰布前監督は2023年の日本一を、打順や役割を大きく動かさない「我慢の野球」で成し遂げた。遡れば岡田第一次政権では、いわゆる「JFK」という絶対的勝ちパターンを確立させ、ライバル球団を参らせている。藤川監督は鉄壁トリオの「F」だった。
藤川監督はそれとは対照的に、状況に応じて選手を入れ替えながら、チームを動かしていく傾向がある。終盤の継投も試合ごとに顔ぶれが変わることがあり、評論家筋からは「見切りが早い」という指摘が出るほどだ。自らが実体験した、岡田時代の「JFK」のごときパターンには固執していないようで…。
打撃面でも似たような対比が見てとれる。四球を重視し、打順を動かさなかった岡田前監督に対し、藤川監督は打順変更や1軍、2軍の入れ替えを積極的に行う。
2005年のリーグ優勝を最前線で支えた剛腕投手が、今度は監督としてブルペンに指示を出す。前監督とはまた違う手法で構築する「新たな勝ちパターン」はさながら、相手チームを幻惑させる「七変化」の様相を呈している。
(ケン高田)

