
「効果的な前進はできていない」。早くも5敗目の柏。小泉佳穂の苦悩「一番良いのは、トップダウンでみんなの目が揃うこと」
リカルド・ロドリゲス監督就任1年目の2025年、J1最終節までタイトル争いを演じ、今季のJ1百年構想リーグでは優勝候補筆頭とも言われた柏レイソル。しかし、開幕3連敗といきなり躓いた。4節・FC東京戦で何とか初勝利を挙げたものの、続くジェフユナイテッド千葉戦で再び敗戦を喫した。
迎えた3月14日のFC町田ゼルビア戦。相手はアジア・チャンピオンズリーグエリートの江原FC戦から中3日の過密日程で、キーマンの相馬勇紀が負傷離脱するというダメージを負っていたが、その相手をうまく攻略できない。
17分には3バック右の原田亘が負傷交代。馬場晴也が穴を埋めたが、29分の町田の先制点では、そこからナ・サンホに仕掛けられ、クロスからテテ・イェンギに中央で仕留められてしまった。
中の人数が揃っていたにもかかわらず、止められないのが今の柏。6試合の総失点12というのが、守備面の不安定さを物語っているのだろう。
そんな時でも昨季の柏なら、前に押し込んで点を取れる力強さがあった。だが、垣田裕暉が1トップを務めた前半はシュート2本にとどまり、敵陣を攻略し切れなかった。
後半のスタートから細谷真大が登場してからはギアがアップ。三丸拡が持ち上がってスルーパスを供給したところに背番号9が反応した72分の決定機、小泉佳穂のロングスルーパスにやはり細谷が入り込んだ86分のビッグチャンスなど、点が取れそうな雰囲気は漂った。が、最終的には0-1のまま試合終了の笛。これで早くも今季5敗目だ。
「やっていることは間違っていない」と細谷やボランチの中川敦瑛らが口を揃えるなか、攻撃の軸を担う小泉は「今日、6試合目で、今までの5試合とちょっと毛色の違う試合になったかな」と話を切り出した。
「0-1になって、相手の5-4のブロックをなかなか崩せず苦しみましたけど、それは今日の試合で起きたこと。同じ展開が起きれば、この反省が活きますけど、次の浦和(レッズ)は全然違う相手。反省点を考えるのは大事だし、話すのも大事だけど、引きずりすぎて混乱しないように、頭を切り替えられたらいいと思います」と、今の停滞感を引っ張ってネガティブになりすぎないことの重要性をまず強調した。
そうは言っても、柏らしい迫力ある組み立てと崩しができていない現実から目を背けることはできないはずだ。
「確かに効果的な前進はできていないかなという気はします。それは今シーズン、ずっとそう。質に頼っていて、結果的にその質で突破しているけど、本当に再現性があるんですかと言われたら、そうじゃない。
ただ、そういうチグハグさというのは、昨年もあった。なんだかんだ、ごまかしながら勝ってきた印象はあります。特に昨季の終盤なんかは、けっこう怪しかった。効果的な前進とか相手のハイプレスをうまくかいくぐるというより、自分たちの強度だったり、優勝争いしている僕らのモチベーションと集中力の高さで上回っていたところがあった。
今は優勝争いからほど遠くて、そういうところがごまかせなくなった。チームとしての構造や脆弱性が目に見えるようになっているだけかなと思います」と、小泉は厳しい指摘をしたのである。
浦和で苦境に陥っていた2024年終盤も、このように自問自答を繰り返す様子がしばしば散見されたが、昨季に柏へ赴いてからは、そういう姿はほぼ見られなかった。この日の受け答えは、まるで当時に戻ったかのようだったが、本人としては「どう解決したらいいのか」と必死に答えを追い求めているに違いない。
町田のキャプテン昌子源が「柏は小泉君が持った時の縦パスや背後の動きが一番危険だった」と最大級の警戒を払ったことを明かした通り、2025年Jリーグベストイレブンへのマークは、昨季とは比べ物にならないほど厳しくなっている。そういった環境の変化も含め、小泉は今、多くのものを背負っている。そのうえで、率先して攻撃の停滞感を打破しなければならない。それは重責以外の何物でもないだろう。
「こういう時に“あるある”なのは、各々の考えを発信することで、チームとしての考えがズレて、かえって歯車がズレていくこと。今まで、できていたこともできなくなってしまいがち。だから、自分からの発信も慎重にやらなきゃいけないと思います。
一番良いのは、トップダウンでみんなの目が揃うこと。リカルド監督からの指示を実行しつつ、細かいところを修正する作業を続けていくこと。大きくバランスを崩さないようにしたいですね」
努めて前向きになろうとする小泉。リカルド監督の申し子と言える男は、ここからどうチームを変えていくのか。今はまさに正念場と言っていい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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