家にいながら買い物ができるネットのフリマ市場は拡大を続けている。しかし、偽物が出品されたり、希望と違う商品が届くというトラブルも後を絶たない。世界的な人気を誇り、高額でやりとりされることが多いポケモンカードでもそのようなケースが相次いでいる。おもちゃ業界歴30年でカード系YouTuberでもあるカートンナイト氏も、出品者から偽物が送られてくる被害に遭った1人だ。そんな彼に聞いた出品者との1年がかりの法廷闘争とは。
メルカリshopsで悪質な被害
ことの発端は2024年4月、カートンナイト氏がとあるポケモンカードをメルカリShopsで購入したことから始まる。
そのカードというのはオランダのゴッホ美術館とポケモンカードがコラボした『ゴッホピカチュウ』。現地にて期間限定配布されたレアカードで、中古相場は未開封の状態で13万円とされている(開封済みの場合は25,000円〜30,000円程度)。
そんなレアカードの購入をきっかけに、出品した相手と1年以上をかけて裁判で争うことになった――。
カートンナイト氏がその旨をXでポストすると、瞬く間に拡散。 詳細を知るため取材を申し込むと、今回の投稿に至る経緯について詳しく明かしてくれた。
「メルカリShopsで、ポケモンカードの中でも人気のある『ゴッホピカチュウ』が売りに出されていました。販売相手の評判を見るとあまり良くなかったので、少し怪しいと思いつつ、中古相場より安い7900円だったので購入しました。
私は、カード系のYouTubeチャンネルを運営しているので、開封するところから動画を撮っていたんです。しかし、現物は明らかに偽物。不安は的中しました」(以下、カートンナイト氏)
フリマアプリの「メルカリ」は個人間(CtoC)でのやりとりだが、「メルカリShops」は事業者・個人事業主が新品や複数在庫を売るネットショップ(BtoC)である。
メルカリと違ってメルカリShopsでネットショップを開設するには詳しい情報の登録が必要で、匿名では販売できない点や禁止行為に対し厳しい処置が取られる点が大きな違いとして挙げられる。
一定の信用が必要とされるメルカリShopsで購入した『ゴッホピカチュウ』だが、カートンナイト氏は実物を手にして、すぐに偽物だと判断できたという。
「まず見た目です。色の濃淡が全然違いました。手で触っても、本物と偽物では写真用紙とコピー用紙くらい材質が異なり、厚さや重さも違う。トランプを曲げると『く』の字になって元に戻るように、トレーディングカードも元に戻るのですが、この偽物は材質が悪いので、曲げても元に戻りませんでした。
ポケモンカードは偽造対策をしっかりしているので、印刷技術も非常に高い。通常の印刷機では絶対にできないような色のグラデーションが入っていたりするのですが、偽物にはそれがありませんでした」
「あなたが偽物とすり替えたのではないですか?」
すぐさまカートンナイト氏は販売先に連絡。
「『偽物ではないですか?』と問い合わせたところ『あなたが偽物とすり替えたのではないですか? 私が買ったのは本物で、送ったカードも本物なので返品は受け付けません』と返答がきました。
まるで罪をなすりつけるような返信だったので、悪徳転売の常習犯だとすぐに感じました」
これまでに自身のYouTubeで同じような被害に遭った視聴者の声を聞いていたカートンナイト氏。違法転売をなくしたいという思いから、訴えることを決意。
メルカリShopsの場合、請求すれば出品者の住所は開示されるので、それを元に裁判を起こした。だが、民事裁判ゆえ、相手から返事が来るまでにとても時間がかかったようだ。
「記載されていた住所に、顧問弁護士から質問状を送るも、それに対し返事がありませんでした。そこから現地調査を行ない、裁判所へ。裁判所から本人に手紙が送付されたのですが、それでも出頭してこないので『あなたは訴えられましたよ』という通達をしてもらい、ようやく返事が来ました。ここまでで3か月もかかっています」
相手の不誠実な対応に怒りを抱きつつも、裁判に向けての準備を進めた。その一環として、送られてきた『ゴッホピカチュウ』が偽物であるという鑑定も行なったという。
「トレーディングカード鑑定機関ARS(株式会社Arsales)に、現物と『荷物が届いてから開封するまでの動画』をお渡しして依頼しました。動画は私が偽物とすり替えていないと言う証拠としてです。現物はもちろん、映像を通して見ても、間違いなく偽物だとする10ページほどの鑑定書(報告書)を作成してもらいました。それを裁判所に提出しています」
しかし、実際の裁判になると相手の様子がおかしかったと話す。
「相手は代理人を立てず本人訴訟をしてきましたが、答弁書や準備書面はAIで作成したのであろう内容でした。
また、この一年で5回の公判に対し『忙しい』『行けないから延期してほしい』などの主張や反論があり、おそらくAI頼りで訴訟に臨んだのだと思います」

