ワールド・ベースボール・クラシック2026(WBC)は15日、準々決勝でベネエズラと対戦した日本は5-8で敗れた。これで準決勝の対戦カードはドミニカ共和国-アメリカ、イタリア-ベネズエラに決まったが、初の4強進出となったイタリアが大会に新鮮な風を吹かせている。今大会の台風の目・イタリアの強さの秘訣はどこにあるのか。
イタリア系MLB選抜の強豪
準々決勝で日本に勝利したベネズエラが準決勝で対戦するイタリアの快進撃が止まらない。
今大会のイタリア代表が強い最大の理由は「イタリア国内の育成力」というよりも、イタリア系にルーツを持つMLB級の戦力を質・量ともに兼ね備えた上で束ねていることにある。
日本でも、かつて野茂英雄とドジャースでバッテリーを組んだことで知られるマイク・ピアッツァ前監督から引き継いだフランシスコ・セルベリ監督は就任時から「これは休暇じゃない。本気だ」と語っている。その言葉通り、1次リーグではアメリカから金星を挙げるなど、プールBを4戦全勝で突破し、欧州勢で初めて組1位通過を果たした。
さらに準々決勝でプエルトリコも破って5連勝で初の4強入りを決めている。
なかでも、アメリカ戦の勝ち方は象徴的だった。イタリアは6安打で8得点。つまり打ちまくるより一発と失策・四球を見逃さず、そつのない攻撃で試合を動かした。実際、2回にティールとアントナッチの本塁打で3点、4回にカグリオンの一発、6回には暴投や守備の乱れも絡めて突き放し、終盤のアメリカの猛反撃をワイサートら救援陣で締めた。
準々決勝でも、相手のミスや甘い球を逃さず8−2まで点差を広げており、少ない好機を長打で最大化するのが今大会の型になっている。プール突破時点で12本塁打を記録していた点も、この打線の怖さを示している。
スタメンのMLB色も濃い。対アメリカ戦の先発野手を見ると、パスカンティーノ(ロイヤルズ)、キャンゾーン(マリナーズ)、デゼンゾ(アストロズ)、ティール(ホワイトソックス)、カグリオン(ロイヤルズ)に加え、バーティ(カブスなど)もMLB実績者で、野手9人のうち少なくとも5人、広くMLB経験者ベースなら6人前後がメジャー級と言っていい構成だった。
ファン垂涎の「ズルい代表」
先発投手もアメリカ戦で先発したローレンゼン(ロッキーズ)、プエルトリコ戦で先発したアルデゲーリ(エンゼルス)をはじめ、ノラ(フィリーズ)やワイサート(レッドソックス)らもいて、ロースター自体が「イタリア系MLB連合」に近い。
WBCでもオランダ代表などは、オランダ領であるキュラソーやアルバなどカリブ海系の強豪選手をそろえて、欧州最上位クラスの野球国である本土だけでなく、キュラソーやアルバ出身のメジャーリーガーに率いられた混成チームとして「ズルい代表」と思わず垂涎する戦力を擁していた。
今大会のイタリア代表は、イタリア系ルーツを持つ選手を多く含む代表として、ここまでの実績も含めてオランダを上回るほど「過去イチでズルい」と舌を巻くファンもいる。
さらに厄介なのは、小技の欧州チームではなく、実態は“機動力もあるMLB打線”である点だ。左の長打者が多く、四球や失策を即失点につなげる圧力があり、終盤も救援陣が崩れにくい。
しかも勢いだけでなく、セルベリ体制でチームの一体感と勝負勘も増している。対戦相手が主導権を握るには、早い回の先制と四球・失策を極力ゼロに近づけることが重要になる。
さらにイタリア代表を率いるセルベリ監督はベネズエラ出身。準決勝は母国との一戦となり、自身の現役時代に対戦して4戦全敗していて、雪辱を果たすのために燃えている。
今大会の台風の目となったイタリアがどこまで勝ち上がるか。日本がトーナメントから消えた今、最大の焦点はそこにあるのかもしれない。
文/集英社オンライン編集部

