ミックスルーツを持つエレナは、田舎町にある学校に転校してきたものの、クラスに馴染めないでいた。唯一エレナに明るく話しかける隣の席のアカリにも心を開き切ることができないでいたが、スマホに繋がったイヤホンを常に手放さない猫歌(にゃん)の死をきっかけに、エレナのまわりでは奇妙な現象が起こりはじめる。イヤホンを通じて聞こえる足音とスマホを手にしている時だけ姿が見える「怪物」に追いかけられるようになったエレナ。ついには猫歌のようにスマホを手放せなくなっていく。
西山監督自身が学生時代に抱えていた孤独や居場所のなさといった“影”を物語の核として2019年から構想を開始し、完成までに6年もの歳月をかけて生み出された本作は、正体不明の“怪物”の物語でありながら、同調圧力やルッキズム、自己肯定感という誰もが心のどこかで知っている青春の痛みに触れる物語。解禁された場面写真には、シエラ璃砂演じる主人公のエレナが鋭い視線を向けるワンシーンが切り取られている。
日本での劇場公開に先駆け、第33回レインダンス映画祭で「最優秀国際長編映画賞」にノミネートされたほか、第19回田辺・弁慶映画祭で俳優賞など三冠に輝くなど国内外の映画祭で高評価を獲得。撮影時23歳の若き才能と注目の若手俳優陣、気鋭のスタッフ陣によって作りあげられた新世代のホラー映画を是非とも目撃あれ。
<コメント>
●シエラ璃砂(高橋エレナ役)

「エレナの物語は孤独をテーマにしていますが、『インビジブルハーフ』は、現場の温かさや創り手の熱い想いが鮮明に映しだされた映画です。本作は私にとって初めて深く携わった長編映画ですが、愛媛のスタッフの皆様、監督をはじめとするチームの強い熱意に支えられ、思いきり演じ切ることができました。美しい映像と音楽に包まれながら、エレナと共に彼女の戦いに夢中になっていただけたらうれしいです」
●奥野みゆ(山本アカリ役)

「目に見えない怪物の存在。私たちが本当に向き合うべきものは何なのか。偏見や無関心、見て見ぬふり、人間の奥底に存在する透明な影をも、静かに映しだしていると思います。この作品に参加して、改めて“人と向き合うこと”の難しさを感じました。怖いだけではなく、登場人物それぞれの気持ちにも注目して観ていただけたらうれしいです。たくさんの方のもとへ届きますように」
●平澤瑠菜(伊藤猫歌役)

「本読みの際、西山監督からこの作品を立ち上げた想いを熱く伺ったことを、いまでも鮮明に覚えています。私が演じる猫歌(にゃん)は、名前に縛られ、周囲の視線に怯えながらも懸命に生きる、この映画のキーパーソンです。コンプレックスや生きづらさを抱えながら日々を過ごす方に、この作品を通して自分だけでなく他者のありのままを受け入れる勇気を届けられたらと思います。見えない怪物にどう立ち向かうのか、ぜひ劇場でご覧いただき、青春ホラーのひんやりとした空気とともに体感していただけたら幸いです」
●西山将貴監督

「本作のアイデアを書き始めたのは2019年で、僕は当時19歳でした。脚本を書いたのは21歳で、撮影は23歳の時、映画が完成した時には25歳になっていました。嘘偽りなく、インビジブルハーフは“人生を賭けて作った映画”です。長編映画を作るのがこんなに大変だと思いませんでしたが、集まってくれたキャストやスタッフのおかげで、自信を持っておもしろい作品だと言える映画になりました。どうか皆様に映画館へ足を運んでいただけますように、と心から願っています」
文/久保田 和馬
