今年2月、ちょんまげラーメン・きむにパンクブーブー・佐藤哲夫が激怒した事件で、芸人界がざわついていた。コトの発端は、営業先の舞台の袖だった。
きむが漫才を終えて戻ってくると、先輩芸人の佐藤から「フジモンやん」とのひと言をもらった。ネタが藤本敏史(FUJIWARA)のものと酷似していたからだ。
きむは一瞬、その意味を飲み込めなかった。「え?」となり、モヤモヤだけが残ったと、のちに語っている。
「腹立つから、ずっとネタ見てたんです。そしたら僕らより全然ウケてなかったんで」
そう言って、イラ立ちを見せるきむ。
きむはその感情の行き場を、ラジオ番組(YouTube)に求めた。哲夫への不満を、リスナーに向けて吐き出したのだ。
哲夫はその番組の存在を、しばらく知らなかった。番組の中で「嫌なヤツ」として扱われ続けながら、当人が何も知らないまま8カ月が過ぎていた。
やがて事態を知った哲夫は怒りながらも、ただ謝らせるのではなく、エンターテインメントとして、きむのラジオ番組に正面から乗り込んでいった。
周囲の芸人の見方はおおむね、哲夫寄りだった。ナイツの塙宣之は「どう考えたってあれ、哲夫さんが悪くないのわかるんですよ」とまで言い切っている。
しかし、きむは「あなたは嫌われてます。はい、終わりです」と、一方的に切り上げようとした。さらには、きむがラジオ番組で「哲夫がエンディング前に帰った」と、ウソをついたことまで発覚した。
そんな哲夫を、相席スタートの山添寛は別の角度から見ていた。「哲夫さんがもう、不憫でならない」と前置きした上で続けた。
「俺やったら、絶対行かないっすもん。後輩のそんな、陰口をラジオで言われて。とりあえずマネージャーづたいに『アイツらどうなってんねん』って言って『とりあえず時間作らせろ』と。本当の裏、情報がはみ出さない空間で『ほんまにアカンで』って。これです、僕ならこれです」
笑いながらそう言ったあとで、山添はひと言、付け加えた。
「一生、絡まない」
麒麟の川島明は、きむと哲夫の構図をこう表現した。
「粗品(霜降り明星)とかが上に噛みついて革命を起こそうとしてるっていうのは、それはエンタメやと思うけど。ミミズとミミズのケンカよ、これは。見どころがない。技も知らない」
まさにアキレるばかりで…。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。

