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【F1分析】アントネッリ初勝利を後押ししたふたつの要素。しかし任務を確実に遂行した19歳にアッパレ!

【F1分析】アントネッリ初勝利を後押ししたふたつの要素。しかし任務を確実に遂行した19歳にアッパレ!

F1中国GPの決勝レースで、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが初優勝。F1の歴史上、2番目に若いウイナーとなった。

 アントネッリが優勝を手にできたのは、もちろんポールポジション(これはF1史上最年少記録を更新!)からスタートし、決勝でも終始安定した走りを披露したからだというのは言うまでもない。しかしレースペースを見ていくと、勝利につながったふたつの重要な要素があるのが分かる。

 アントネッリはミディアムタイヤを履いて決勝レースをスタートした。これは他の上位勢も同じ選択であり、コース上での真っ向勝負という形であった。

 今回もスタートの蹴り出しはフェラーリ勢が圧倒的であり、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが一気にアントネッリに襲いかかる。

 しかしアントネッリは2周目に首位を取り戻すと、その後はフェラーリ勢を抑え、さらにはリードを拡大していく。チームメイトのジョージ・ラッセルも、スタートでこそフェラーリ勢の先行を許したが、コース上でペースが優れているのは明らかであり、立て続けに2台をパス。メルセデスは早々に1-2体制を築き上げ、このまま完勝というように思われた。

 しかし10周目に入ったところで、アストンマーティンのランス・ストロールのマシンに突如トラブルが発生し、コース脇にストップ。これでセーフティカー(SC)が出動することになった。

 この10周目というタイミングは、実に難しいところであった。

 今回の中国GPは、1ストップ作戦が最速であると見積もられていた。しかしミディアムタイヤ→ハードタイヤと繋ぐにしても、ピレリの推奨ラップ数は17〜23周目。10周目はあまりにも早すぎる。

 しかしSC中にタイヤ交換をしてしまえば、タイムロスを最小限に食い止めることができる。そのためここで各車はピットインすることを決断。タイヤ交換後、ラッセルは「ここから1ストップはかなり挑戦的だね!」と無線で訴えたが、それでも上位を目指すためには、ここでタイヤ交換義務を消化しなければならなかった。

 タイヤ交換を終え、アントネッリは首位でコースに戻った。ここで、彼の勝利を後押しした、ひとつ目の要素があった。それが、SC中タイヤ交換を行なわなかったフランコ・コラピント(アルピーヌ)とエステバン・オコン(ハース)が、ラッセルとの間に”入ってくれた”ことだ。

 それが効果を発揮したのは、SC解除直後のことだ。アントネッリは首位を守ったものの、ラッセルはやはり加速が鈍り、ハミルトンとルクレールにまたも先行されてしまったのだ。

■アントネッリにとっては幸運だったレース展開

 これは、決勝レース中のメルセデスとフェラーリのレースペース推移を折れ線で示したグラフである。

 赤丸で示した15周目、つまりSC解除2周後のペースを見ていただくと、メルセデスの2台は、フェラーリ勢に比べて圧倒的に劣っているのがよく分かる。その差は1秒ほど、しかもアントネッリは前が開けたいわゆるクリーンエアの状態、一方でハミルトンはバトルを掻い潜りながら……である。

 この差はおそらく、タイヤのウォームアップ(暖まり方)によるものであろう。ラッセルはSC再開後に「このタイヤ全然グリップしないよ!」と言っていたし、アントネッリもSC中の13周目に、ターン3で大きく滑っているのが確認できる。

 アントネッリは、真後ろにフェラーリ勢につけられていたら、ここであっさりとオーバーテイクされ、首位の座から滑り落ちていたはずだ。

 しかしそこにはコラピントとオコンがいた。彼らはハードタイヤを履いてスタートしていたため、10周目にピットストップするわけにはいかなかったのだ。ここでピットストップしていたら2ストップになるのは確実だし、中団グループでの争いをみすみす捨てることになっていたはずだ。

 ハミルトンがこの2台をオーバーテイクし、アントネッリの後ろについた時には、アントネッリのタイヤもしっかりと暖まり(グラフのオレンジ色の丸の部分)、ハミルトンを引き離していくことができた。

 さて今回のアントネッリのライバルは、フェラーリだったわけではない。現時点ではメルセデスとフェラーリの間には圧倒的な差があり、スタート直後こそ先行されることはあれど、ひと度オーバーテイクモードを使わせない距離(1秒差)以上まで引き離してしまえば、メルセデスにとってフェラーリはまったく脅威ではないだろう。そのため最大のライバルは、チームメイトのラッセルである。

 今回の中国では、そのラッセルをフェラーリ勢が封じてくれたことも、アントネッリの勝利につながった。

 フェラーリ勢は、メルセデス勢に勝てないため、チームメイト同士で戦うことを許可している節がある。そのためハミルトンとルクレールは、中国GPのレース中に大バトルを展開。ドライバーふたりはレース後「楽しかった」と口を揃え、遺恨はまったく残っていない様子だ。またチーム代表のフレデリック・バスールも「良いバトルだった」と語っている……まあバスール代表は「ちょっとヒヤヒヤしたけど」と本音も覗かせたが。

 このバトルに付き合わされてしまったのがラッセルだ(グラフ青丸の部分)。フェラーリ同士でバチバチやり合うわけだから、当然ペースは落ちる。しかしそこには、ラッセルが通り抜けていくだけのスペースはなし……この間にアントネッリはどんどん逃げていき、結局は7.5秒ほど逃げられてしまうことになった。

 フェラーリ勢を抜いた後のラッセルのペースは、アントネッリと同等。これでは届かず、結局はアントネッリが勝利した。つまりフェラーリ同士の大バトルも、アントネッリの初優勝を後押しした……まあある意味、先代メルセデスドライバーであるハミルトンからの、アントネッリへの”贈り物”だったと言えるかもしれない。

 ただ前述した通り、レース中のアントネッリのペースは、ラッセルと同等であった。今季のチャンピオン最有力はラッセルという見方が強かったが、今回の走りを見る限り、うかうかしているとラッセルとてやられてしまう……そんな可能性がなくもないような気がする。

 今後もメルセデス勢同士の争いに目が離せない。そして、今はチームメイト同士のバトルを満喫”するだけ”のフェラーリ勢が、真の意味でメルセデス勢に襲いかかったら……至極のシーズンとなるだろう。

 次戦は鈴鹿サーキットでの日本GP。抜きづらい鈴鹿で、再びフェラーリ勢がスタートを決めるのか? そうなったら、今度はメルセデス勢とて、抜き返すのは難しいかもしれない。

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