
近年、人工知能(AI)はイラストや写真、動画など、さまざまな視覚コンテンツを生成できるようになりました。
では、人間が見たときに「最も魅力的」に感じる画像は、実在の人物の写真なのでしょうか。それとも、AIによって作られたものなのでしょうか。
この疑問を解決すべく、チェコのプラハ・カレル大学(Charles University)らが、特にポルノ画像を対象として調査。
その結果、AIが生成した女性のヌード画像は、実在する女性の写真よりも「美的魅力」や「性的魅力」で高く評価される傾向があることが明らかになったのです。
研究の詳細は2026年2月6日付で学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載されています。
目次
- AIが作る「理想の身体」は本物より魅力的?
- 「リアルさ」では写真が勝ち、「魅力」ではAIが勝つ
- AIが「美の基準」を変えてしまう?
AIが作る「理想の身体」は本物より魅力的?
人類は古くから性的イメージを作り出してきました。
洞窟壁画や豊穣像、そして近代のポルノ雑誌まで、性的表現は常に文化の中に存在してきました。
しかし現在は、インターネットとデジタル技術の発展によって、性的イメージの世界は大きく変化しています。
特にAIや3Dコンピュータグラフィックスは、実在しない人物を極めてリアルに作り出すことが可能になりました。
整形手術が人間の外見を変えるのに対し、デジタル生成では体型、顔立ち、肌質、髪型など、あらゆる要素を完全に設計できます。
つまり、制作者は「理想の身体」を自由に作り出せるのです。
研究チームは、こうした画像が人間の評価にどのような影響を与えるのかを調べるため、チェコ共和国でオンライン実験を実施。
調査には、女性に性的魅力を感じると回答した成人649人が参加しました。参加者の大半は男性でしたが、45人の女性も含まれていました。
参加者には、裸の女性の静止画像が灰色の背景の上に提示されました。画像は次の6種類に分類されています。
・実在の女性の写真
・コンピューター生成画像(CGI)
・AI生成画像
・整形手術で性的特徴を強調した女性
・シリコン製ラブドール
・日本のポルノ漫画
さらに、髪の色や体型(豊満型、アスリート型、小柄型など)を変えた複数のキャラクターが用意され、好みの違いによる偏りが出ないように設計されました。
参加者にはそれぞれの画像について、以下の項目を評価してもらいます。
・リアリズム(本物らしさ)
・性的魅力
・美的魅力
・感情的な心地よさ
評価はスライダーやイラスト尺度を使って行われました。
「リアルさ」では写真が勝ち、「魅力」ではAIが勝つ
分析の結果、最もリアルだと評価されたのは予想通り「実在の女性の写真」でした。
その次にリアルとされたのがAI画像で、以下のような順序で続きました。
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実写写真
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AI生成画像
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コンピューター生成画像
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整形女性
-
ラブドール
-
日本のポルノ漫画
ところが「魅力」の評価では結果が逆転しました。
美的魅力、性的魅力、感情的な心地よさのすべてにおいて、AI生成画像が最も高い評価を獲得したのです。
実写写真はその次でした。
つまり、人々は「本物らしい」と感じるのは写真である一方、「魅力的」と感じるのはAIが作った人物だったことになります。
一方で、整形女性やラブドール、ポルノ漫画は全体的に低い評価でした。多くの参加者は、これらの画像をやや不快だと感じていたようです。
研究では男女差も見られました。
男性は全体的に画像を高く評価する傾向があり、女性はより低い評価をつけました。ただし、カテゴリーの順位自体は男女でほぼ同じでした。
さらに興味深いのは、年齢による違いです。
若い参加者ほど、ポルノ漫画をより魅力的だと評価する傾向がありました。
研究者は、日本の漫画スタイルが若い世代のメディア環境で一般化していることが影響している可能性を指摘しています。
つまり、人が何を「魅力的」と感じるかは、生まれ育ったメディア環境によって大きく左右される可能性もあるのです。

