トラック野郎研究家として書籍『トラック野郎 50年⽬の爆⾛讃歌』を刊⾏した⼩川晋⽒と、その盟友として「強⾏ロケ地調査」を敢⾏している「かわらのジョナサン」こと川原和彦⽒。同学年の「トラック野郎」狂が、その思いの丈を存分に語り合う対談の第2回は、超合⾦、消しゴムやチョロQ、シングルカセットといったブツの話から、それぞれの推し作まで、話題は尽きることがありません。その深き「トラック野郎」愛を、ぜひ⽬撃してください!
『トラック野郎 50年目の爆走讃歌』
小川晋 著/立東舎 刊
定価3,300円(本体3,000円+税10%)
https://rittorsha.jp/items/25317420.html
「⼤井スタンプ」の思い出
川原 前回は1972年⽣まれの話をしましたが、我々が⼩学校に⼊学した夏に第9作『熱⾵5000キロ』が公開、冬に最終作となる『故郷特急便』が公開になりましたよね。でも記憶にあるのは、地元の映画館の道端の看板で『故郷特急便』を⾒たくらい。よく考えればやはり⼩学校⼀年⽣が⾒に⾏く映画ではない(笑)。同い年の男の⼦は「ウルトラマン」「仮⾯ライダー」「ゴジラ」等のヒーローものやロボットアニメを⾒て、超合⾦で遊ぶのが⼀般的。それらに⽬もくれず、⼤⼈が⾒るような実写映画である「トラック野郎」にハマった我々って……(笑)。⼩川さんは(⼩学⽣)当時、プラモデル以外でトラック野郎に関するモノは何か⼊⼿されましたか?
小川 実家がある東京町⽥市に「⼤井スタンプ」という、映画チラシやポスターを売るお店があったんです。店内は映画チラシが入った膨大なクリアブックがずらっと値段別に並んでいましてね。一緒に行った⼩学校のクラスメイトは「ガンダム」や、ちばあきおさんの「キャプテン」といったアニメのチラシを買っていましたが、私のお目当ては勿論、「トラック野郎」の映画チラシ。ここで初めて⼊⼿したのは『男⼀匹桃次郎』だったかな? その後、『天下御免』『度胸』『突撃』『北へ帰る』『熱⾵』『故郷特急便』と買い揃えていくんですが、だいたい1枚50円〜200円くらいで入手できたんです。しかし『御意⾒無⽤』は⾼額チラシとして取り扱われていて、数千円の値がついていたんですよ。今でもそこそこレアで、ヤフオクに出てくると結構な⾦額になりますね。これは流⽯に⼩学⽣の⼩遣いでは買えなくて、⼊⼿したのは⾼校⽣くらいだったかと思います。ポスターやパンフレットよりもチラシの⽅を先に⼿に⼊れたという。
川原 町⽥にも「⼤井スタンプ」ってあったんですね。それを聞くと、就職活動で東京に⾏った際に⼤井町にあった「⼤井スタンプ」で第6作のポスターを買いました。でも第1作のチラシがそんなに⾼額だったのは驚きです。私⾃⾝はチラシの認識が当時はなくて、社会⼈になってから数作品⼊⼿した程度です。
小川 チラシについて付け加えると、ある程度⼊⼿すると『爆⾛』と『望郷』がなかなか⾒つからないんですよ。’70年代以前の邦画チラシって、作ったり作らなかったりしていますからね。結論から⾔うと、この2作はちゃんとしたチラシが作られていないかと思います。『爆⾛』はプレスシート(メディア関係者向けに配布される非売品の公式資料)で代⽤、『望郷』は「トラック⾳頭」の宣伝チラシのみで、これとは別にB4サイズを2つ折りにした単色ものもありますが映画館のスタンプ等、館名入りを確認できていないので、一般のお客さん用に配布されていたものなのか否か、確証はありません。ポスターやパンフは、90年代くらいまでは古本屋でもちょっと探せば安価で買えましたよね。ポスターはトラックショップなかむらで製作したポスターカレンダー、パンフはBlu-rayボックスの付録として復刻されましたが、オリジナルの中古価格は高騰しています。
▲『御意見無用』の映画チラシ。裏面に各映画館名が印刷やスタンプで入るため、全種類を網羅するのは不可能である
「トラック野郎」のパンフは全作存在する?
川原 でも子供だった我々は実際それくらいの感じで、前回も話しましたが私が入手したのは「光るトラック野郎」だけです。一応超合金に分類されるようですが、それもどうかとも思います。私はロボット超合金なんかに翻弄されず「ミニカー」一筋でしたが、そういう我が家にも唯一「太陽の使者 鉄人28号」の当時8000円ほどした超合金がありました(現存しています)。ただこれは私のものではなく妹のものですが(笑)。爺さんをそそのかして買って貰ったもので、妹にとって鉄人の超合金は爺さんと彼女を繋ぐたった一つの絆なんです。あ、どこかで聞いたような台詞だ(笑)。私は映画公開当時には何も購入しませんでした。そもそも映画としての認識がなかったもので。
小川 そうそう、超合⾦「光るトラック野郎」は何故か当時、⾒た覚えがないんです。駄菓⼦屋とかのガチャガチャで買えた「トラック野郎消しゴム」くらいですね。
川原 「トラック野郎」消しゴム、確かにありました。2つ3つ持っていましたが、残っているのは1つくらい。チラシも作品によっては無いんですね。私、その辺りの情報は弱いんですよ。後にオークションで手に入れられる頃には手を出さずに来たため、実際1~2作品しか持っていません。ポスターも同様です。でも中学~高校生の頃に映画専門の古書店と出会い、パンフすべてを当時は1冊300~500円で入手しました。
それから大学生の頃だったか、我が家のお寺での話ですが、夏のお参りなどに信徒が使用する団扇を入れておく箱があり、その中の整理を手伝っていたら「望郷一番星」と書かれた団扇を発見! 直ぐに手に取り、役員さんだったか、住職に話し「譲ってください!」と懇願。即答で「もってけ」と(笑)。あとは地元の映画館の館主と懇意になり、物置を漁らせて貰いポスターやプレスシートを頂いたくらいです。
▲『トラック音頭』発売時の宣材団扇
川原 パンフがBlu-rayボックスの付録として付いていたのを失念しておりました。ただ、実際のパンフでは第5作と第8作は併映作の『サーキットの狼』『水戸黄門』のパンフも同時掲載でしたが、付録では流石にそれがカットされている。そしてパンフは第4作までは存在しない。だけど第1作~第4作のパンフが存在するかのような情報がネットで流れたりしていたじゃないですか。あの根拠ってご存じですか?
小川 第1作〜第4作のパンフが存在するかも……という情報、確かに2ちゃんねるか何かで流れていたことがありました。しかし公開から半世紀も経過していますから、さすがに存在していれば1冊くらい、現物の情報が出てくるはずです。故にこの話は、眉唾ものだなと。⻄荻窪で開催した書籍『トラック野郎 50年⽬の爆⾛讃歌』の出版イベントでも、本当に存在するのか否か、ご質問された⽅がいらっしゃいましたね。これは会場でもお答えさせていただきましたが、第4作以前のパンフレットは、地⽅の映画館が独⾃に作成したものはあるかもしれません。しかし東映本社が作成したものは無いと思います。そもそも第5作『度胸⼀番星』のパンフレット前半部分には第4作までの作品紹介が載っていますよね? もともとパンフレットを作るつもりはなかったけど、これだけ⼤ヒットすれば……という感じで作ったのだと考えられます。それでパンフレットを作っていない第1作〜第4作をダイジェストとして掲載したのではないでしょうか。まあ邦画の宣伝材料って、洋画と⽐べて未知の部分が多いんです。「仁義なき戦い」は第4作『頂上作戦』のみ、突如パンフが作成されて劇場で販売されたようですね。そして『御意⾒無⽤』と同年製作で、東映が「トラック野郎」以上に期待をかけた『新幹線⼤爆破』さえもパンフは作成していませんから。
川原 当時は、パンフレットやチラシの存在意義が重視されていなかったというわけですね。でもそう考えると、パンフを見つけ度肝を抜かれ購入したのが、映画終了後10年ほどしか経っていない頃だったのは、今考えるととてつもないことに感じます。そして何故か2000年代になって、新たにいろいろな商品が発売されたじゃないですか。これらは結構購入しました。「チョロQ」はコンプリート。作品によってはスペアを購入した物も。そして、チョロQを二回り位大きくした、モーター駆動で走って光る一番星号が製品化された物もすべて購入(爆走・望郷・突撃・故郷の4タイトル)。1/32 RCは爆走・望郷・男一匹・熱風の4作品。ただし爆走一番星は結婚祝いにと、友人がプレゼントしてくれました(笑)。
小川 元東映宣伝部の福永邦昭さんにどんな基準で宣材を作成するのか伺いましたが、詳細については未だわかりません。チョロQの発売初期、⼀番星号はもちろん、ジョナサン号まで作品ごとにセットで発売したりと、タカラトミーの⼒の⼊れようは凄まじかったですよね。ライバル⾞のボルサリーノⅡや、パッカー⾞の花電⾞福の神までリリースされたのは、驚きました。これは全10作まで作られるかもと期待していたんですが、『男⼀匹桃次郎』の⼀番星号が出たあとピタリと発売が⽌まってしまって。ここまで出したんだから、最後まで出してほしかったです。
川原 チョロQがフェードアウトしたのは残念でした。次はいつ発売するのか、待てど暮らせど……。
▲映画チラシか、はたまたプレスシートか? 今となっては明確な判断ができない『爆走』『望郷』の宣伝素材
