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書籍『トラック野郎 50年⽬の爆⾛讃歌』刊⾏記念! ⼩川晋(著者)+川原和彦(かわらのジョナサン)対談第2回 「まだまだ知りたいことがたくさんあるんです!」

書籍『トラック野郎 50年⽬の爆⾛讃歌』刊⾏記念! ⼩川晋(著者)+川原和彦(かわらのジョナサン)対談第2回 「まだまだ知りたいことがたくさんあるんです!」

「⼀番星ブルース」のシングルカセット

川原 福永さんは本当に大きな存在です。澤井信一郎さんが亡くなられ、トラック野郎関係の話は当時を良く知る方が激減している今、福永さんには私も聞きたいことはしっかり伺っておきたいと思います。

小川 澤井信⼀郎さんには晩年まで、⼤変お世話になりました。『トラック野郎』は助監督時代のことなのに、私の⾯倒な質問に対していつも親⾝になってお答えいただきました。調べれば調べるほど伺いたいことが湧いてきて、今でもお元気なうちにお聞きしておけばよかったなぁと思うことはたくさんあります。福永さんも当時のことをしっかりと覚えていらっしゃるので、すごく参考になりますね。

川原 澤井信一郎さんですが東映東京撮影所試写室で開催した上映会の帰り、助監督の吉崎元さんが、ご自宅までお送りするというので同乗させていただいたことがあったんです。その時、澤井さんが「私も色々な職業の人に出会ってきたけれど、地図を作っている人には初めて会った」とおっしゃられたのが印象深いです。「青年、ここが僕の家だよ」と。青年という年齢ではなかったですが(笑)。

我々が中学生の頃に「一番星ブルース」のシングルカセットが発売になりましたよね。地元のレコード店で見かけたにもかかわらず、買わなかった(買う踏ん切りが付かなかった)ことを後に悔やみました。「一番星ブルース」「トラック音頭」も、後にオムニバスCDに結構入るようになり、それで入手しました。そしてあの「東映傑作シリーズ」のCD3枚。今聞くとかなり残念な感じもありますが(笑)、第9作のようにマスター紛失になったものもあることを考えるとよく出してくれた!と思う発売当時は素晴らしい存在でした。

小川 「⼀番星ブルース」のシングルカセット、ありましたねえ。公開当時は出ていないのに、唐突にリリースされたのは覚えています。シリーズ誕⽣○○年とかではないと思うし、あれは何だったんだろう……? 「⼀番星ブルース」のシングルって、CDの時代が訪れても暫くは廃盤にならず、注⽂すれば町のレコード屋で買えたんですよね。東映⾳楽出版が発売した「東映傑作シリーズ」サウンドトラックCDは、⾳楽が盛り上がる⼨前でフェイドアウトになってしまったり、⼀番星号とライバル⾞の戦いが始まる際に使⽤された肝⼼なテーマが⼊っていなかったりと、普通の⾳楽CDに⽐べると⽐較的割⾼なのに、物足りなさを感じました。

川原 嬉しくもあり、物足りなさを感じた「傑作シリーズ」。でも人間、欲が出るんです。小川さんと出会って1年が経った2015年、互いの信用具合も高まり(笑)、CD『歌え‼トラック野郎スペシャル』の制作・発売の話が小川さんから舞い込みます。おまけ(2枚目)のサウンドトラック集の選曲を手伝ってほしいという依頼で、私は二つ返事でOK。ただ締切りが2~3日しかないという。だから仕事から帰り、夜8時くらいから作業を行い、確か2晩で全10作分を終えたような記憶があります。選曲コンセプトは「自分の欲しい曲を集めたCDにしよう!(笑)」というもの。実際、発売されたもののAmazonのカスタマーレビューは、メインを差し置いてサントラの方のコメントがほとんど。傑作シリーズには無かった、(ワッパ勝負)第2作のM-17や第3作のM-10、(クライマックス)第2作M-24や第3作M-30のフルバージョンは必須でしたから……私には(笑)。自分でも本当に良いモノを作らせていただいたと思います……自画自賛許されよ(笑)。でも本当にこういう話は、小川さんと出会っていなければ経験できないことでしたし、携わることができなかった可能性を考えると、ゾッとしますね。感謝の言葉しかありません。

小川 『歌え!!トラック野郎スペシャル』CDは、2014年に出版された徳間書店さんの『トラック野郎浪漫アルバム』に私が関わった際、その出版打ち上げでCDディレクターの⾼島幹雄さんと知り合ったのがきっかけだったんです。⾼島さんはそれまでにも多数のテレビドラマや邦画のサウンドトラックCD制作に関わっていらっしゃった⽅ですから、今までにはなかった、最⾼の「トラック野郎」サウンドトラックCDができることを確信していました。ただし、おっしゃるように締切りまで時間がありませんでしたから、ひとりでは到底間に合わない。なので、川原さんのお⼒を急遽お借りしようということになったのです。

川原 そう言っていただきまして光栄です。50周年のロゴデザイナーのマルユキ商店さんと劇中歌の解読と収集を行っていたため、次に発売になった『帰ってきた!!トラック野郎スペシャル』に採用された曲は結構所蔵していました。ロケ地も然り、劇中歌解読もハマっていましたね当時。「解読」が好きなんでしょうね、自分。

小川 CDが発売されて暫く経った頃、地元の県道を⾃転⾞で⾛っていたら、たまたま⾚信号で停⽌していたダンプの窓の隙間からこのCDの⾳が外に漏れていたことがありましてね。もちろん私⾃⾝が演奏しているわけじゃないけど、「あー聴いてくれてるんだ〜」と思ったことをよく覚えています。第2弾のCDは結構マニアックな内容でしたが、まだまだ収録しきれなかったですよね。『望郷⼀番星』で早朝、病気の仔⾺が元気を取り戻したのを確認した桃次郎が人知れず牧場を去る場面のテーマだとか……。

川原 どうしてもCDの収録時間の制限はありますから、『天下御免』のM-27(ハンドルを握る千津)など長尺の曲を入れると、小川さんも悔やまれる『望郷一番星』のマドンナに何も言わず牧場を後にする際に流れるテーマなどが非採用になったのもやむをえない(私は選曲しましたが……力及ばず不採用)。ちなみに、私は自車で聴く用に『傑作シリーズ』と『トラック野郎スペシャル』から自己ベストチョイスした盤を作り聴いております。ロケ地調査時に流しているアレです。

小川 2枚のサウンドトラックCDをリリースしましたが、おいしいところは2枚に凝縮していますから、流⽯に第3弾を出すのは無理でした。それにしても⾼島さん⽈く『熱⾵5000キロ』のみマスターテープが所在不明ということで、なぜ本作だけ⽋落してしまったのかは謎ですね。

川原 正直、CDは第1弾で終わりだと思っておりましたから、第2弾は「えっ!」という感じでした。おっしゃる通り第3弾を出すのは難しいでしょうね。第2弾でやりきった感じでしたから。

▲川原、小川の両氏が制作にかかわったCD『歌え!!トラック野郎スペシャル』と『帰ってきた!!トラック野郎スペシャル』

それぞれの「トラック野郎」

川原 例えば鉄オタに「乗り鉄」「撮り鉄」「録り鉄」「車両鉄」「模型鉄」「収集鉄」「路線鉄」「廃線鉄」等があるように、トラック野郎好きといっても、さまざまなタイプがいますよね。「デコトラ」「一番星号」「映出車」「ロケ地」「映像(作品)」「(スタッフ等)制作関係」「作品の歴史」「グッズ収集」「模型」etc.……小川さんは強いて言えば何好きに分類されますか?

小川 強いて⾔えば、「ストーリー」ですかね。命より⼤事にしている⼀番星号を、⾃分⾃⾝はマドンナに振られたにも関わらず、彼⼥の幸せのためにしゃかりきになって爆⾛する桃次郎の姿にしびれますね。

川原 ⼩川さんのマニアのジャンルである「ストーリー」。命より⼤事にしている⼀番星号を、⾃分⾃⾝はマドンナに振られたにも関わらず、彼⼥の幸せのためにしゃかりきになって爆⾛する桃次郎の姿……以前、⼩川さんと「もしトラックが⾺だったら?」という話をしましたよね。⼩川さんは、それでもこのストーリーに感銘を受けているから観るとおっしゃっていた。私は観ない可能性が⾼いです(笑)。⼀番星号がバスだったり、乗⽤⾞だったり、ノーマルのトラックでも⾃動⾞であれば観ると思います。それがゆえ、トラック野郎以外のトラックムービーも概ね観ています。好きな作品はまさに⾃動⾞を始めとした「地を⾏く乗り物が主役」の作品が中⼼ですから、⾃⾝の⾦字塔が「トラック野郎」シリーズになるのです。洋画も同様です。

小川 私は物語と、鈴⽊則⽂監督の演出術というか、⼈となりに感銘を受けました。もし⼀番星号が「トラック」ではなく「⾺」だったら……と考えたのは、あくまで極論ですよ。なんだか全国の「トラック野郎」ファンを敵に回してしまうかもしれないなぁ(笑)。

川原 「トラック」が「馬」の例え、私は好きですよ(笑)。ああ、そういう見方があるんだって感銘を受けましたからね。そういう「トラック野郎推し」もあるんだと。話が少しズレるかもしれませんが、「トラック野郎」って東映東京の現代版時代劇なのではないかと思うんです。というのも、オープニングのドタバタや中盤の物語、そしてラストの「助さん格さん懲らしめてやりなさい」や「お主、余の顔を見忘れたか!!」「う、上様……上様の名を騙る不届き者、出合え! 出合え!」が、トラック野郎だと「馬鹿野郎ッ、鬼台貫が怖くてワッパが廻せるか!」や「馬鹿野郎ッ、泣いてる暇があったら会いに行け、会いに行ってとことんぶつけ合うんだ!」になると思うんです。「暴れん坊将軍」徳川吉宗の刀「カチャッ」は桃次郎の「アクセルの踏み込み」グングン上がるスピードメーターの針! 殺陣は一番星号の蛇行・パトカー大破! まさしく「水戸黄門」であり「暴れん坊将軍」です。まぁ東映らしいプログラムピクチャーですよね。音楽も木下忠司さんと菊池俊輔さんですし。そういうところが小川さんの言う「ストーリーマニア」につながるのかな?と。

小川 とは⾔っても、「デコトラ」+「ストーリー」だからこそ「トラック野郎」が成り⽴つんだとは思うんです。桃次郎はマドンナに振られているわけだから、⼼の中で「ちっきしょ〜」という気持ちは消えるはずがないと思います。でも、それを顔や態度に出さない。本当はカッコ悪い男なんだけど、そこをぐっと我慢して⽬的地に届ける。そこが桃次郎の美学なんですよね。普段、沸点が低いから喧嘩っ早いし、思ったことはすぐ⼝に出す癖にね(笑)。

川原 「デコトラ」+「ストーリー」だからこそ「トラック野郎」……それはそうですね。桃次郎の美学って、多細胞の顔になった時は「結願だって言ってたな、どんな願を掛けた、嘘をつくなよ、正直に言うんだ」ですが、単細胞の時はそれこそ思ったことはすぐ口に出し老人・子供にも情け容赦ない。「この糞爺い出て来い」が、マドンナの関係者だと分かると「お爺様、我が身分卑しき松下金造のはいた数々のご恩……」ですからね。周りにいたら嫌な奴だなと(笑)。でも、そういうところも含め小川さんの推しの部分でもあるんでしょうね。私なんかは、デコトラや映出車も元来の自動車好きが故もちろん好きなのですが、そこに特化したマニアではなく、基本は映像・物語としての「映画」が好きで、トラック野郎の場合はオープニングシーン、ワッパ勝負、クライマックスで満足するような「一番星号」走行シーン好き。そういう人達も多いのではないかと思います。

小川 桃次郎がマドンナに振られた時って、いつも痛々しいですよね。そんな中で、特に『望郷⼀番星』で振られた時の、桃次郎の表情の変化が大好きです。終始渋い顔をしていたのに、それを押し殺して亜希⼦へ「おめでとう」と祝福する時に桃次郎の目もとがふっと優しくなるんです。それにつられて亜希子も、えっ?となる表情もたまりません。私はトラックよりもむしろ、そんなところばかりが気になってしまうのですよ。

川原 桃次郎が亜希子に振られた時の表情の変化に目が行き、気になってしまうのは小川さんらしいところだと思います。映画って個々の好みがあってこそですから。私の場合、当て馬ドンに「一生本番無しか」「人間にもこういう奴がいるんだよな、ドンか」という伏線からの渋い顔してドンに近寄り「兄弟、あ~ん~」って言うところが好きだったりします。とは言っても一番はその後のクライマックスです。あれがあってこそ「トラック野郎」だと。そういう意味では小川さんの場合は「大衆娯楽劇」の部分が主で、私の場合は「娯楽活劇」部分が主。そういった視点の差ですね。それがまた良いわけですが。

▲『一番星北へ帰る』のチラシ、プレスシート

配信元: ガジェット通信

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