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F1分析|中国GPをハードタイヤでスタートしたのは大失敗……しかしそれはあくまで結果論。戦略分けたアルピーヌのペースを分析

F1分析|中国GPをハードタイヤでスタートしたのは大失敗……しかしそれはあくまで結果論。戦略分けたアルピーヌのペースを分析

F1中国GPの決勝レースは、タイヤ戦略が分かれるレースとなった。スタートタイヤは、全3種類に分かれたが、一体どれが正解だったのだろうか? 検証してみよう。


 中国GPのスタート時には、装着タイヤの選択が大きく分かれた。全22台中、ソフトタイヤが3台、ミディアムタイヤが10台、ハードタイヤが9台である。

 上位勢が履いたのはミディアムタイヤが中心。しかし10周目にランス・ストロール(アストンマーティン)がストップし、セーフティカー(SC)が出動したことで、レースが大きく動いた。

 今回のレースは56周であり、10周目というのはまだまだ序盤であった。しかし1ストップ戦略が主流になると見られていたため、ここでタイヤを変えてしまっていいのだろうかと、大いに悩まされたことだろう。SC中にタイヤ交換を行なえば、ピットストップのロスタイムを少なくすることができる。しかし残り周回数はまだ長い……。

 とはいえソフトタイヤやミディアムタイヤを履いていたマシンはここでピットインし、ハードタイヤに履き替えた。残り周回をハードタイヤで走り切ることに賭けたのだ。しかしそれとて、可能かどうか不透明という周回数である。


 一方でハードタイヤを履いていたマシンとしては、ここでタイヤを履き替えるわけにはいかなかった。たとえ少ないロスタイムでタイヤ交換できたとしても、残り周回をミディアムタイヤもしくはソフトタイヤで走り切るのは事実上不可能。2ストップを強いられることになるのは、火を見るよりも明らかだったからだ。そのためステイアウトすることになった。

 結局はこの判断、もしくはレーススタート時に履くタイヤで勝敗が分かれた部分があったと言える。つまり柔らかいタイヤ(ソフトかミディアム)でスタートしなければ、今回のレースは好結果を手にしにくい展開であったのだ。

 それを如実に表す好例がある。それは、アルピーヌの2台である。

タイヤ戦略を分けたアルピーヌ

 このグラフは、アルピーヌ勢2台のレース中のペース推移を折れ線で示したものである。

 一見したところ、両者は終始同じようなペースで走った。これならば通常は、同じポジションを争っていたドライバー同士であるはずだ。

 しかし最終的な結果はピエール・ガスリーが6位、コラピントは10位。しかも両者は50秒近い差がつき、ガスリーは先頭と同一周回でフィニッシュしたのに対し、コラピントは1周遅れである。

 この差がついた理由が、前述のスタート時のタイヤ選択であった。実はガスリーはミディアムタイヤを履いてスタートした一方、コラピントはハードタイヤを履いてのスタートであったのだ。

 SCが出動した際、ガスリーはタイヤを交換。コラピントは交換しなかったため、2番手に浮上することになった。

 ガスリーはハースのオリバー・ベアマンの前を走っていた。しかしリスタート時、ベアマンはズバリとガスリーを抜き、さらに古いタイヤを履くコラピントとエステバン・オコン(ハース)を一気に抜き、これが最終結果5位につながった。

 一方でガスリーはコラピントとオコンの後に付き合わされるような格好となり、ペースを伸ばせなかった。この結果一時はベアマンに10秒ほどの差をつけられることとなり、5位を逃す結果となった。

 コラピントは、ハードタイヤでは秀逸なペースで走っていたものの、その後ミディアムタイヤに履き替える必要があり、32周目にピットイン。後方に落ちた。

 本来ならばミディアムタイヤは、ハードタイヤよりも圧倒的にペースが良いはずだ。差を縮めていくこともできただろう。しかしハードタイヤを履くガスリーと、ペースはあまり変わらなかった。これは何も、コラピントが悪かったわけではない。ハードタイヤがあまりにも良すぎたということではないだろうか。

 ミディアムタイヤには、どうしても徐々にデグラデーション(性能劣化)が生じている傾向があった。しかしハードタイヤに関しては一向にその傾向は見られなかった。これはガスリーだけではなく、その他のほとんどのドライバーも同様だった。なによりコラピントの最初のスティントのペースも、まさにそのような傾向にあった。

ミディアムタイヤスタートが正解だった

 こちらはレース中の差の推移を示したグラフである。こちらを見ていただくと分かりやすいと思うが、コラピントはSC出動中ではないタイミングでピットストップしたそのロスタイムを、ついぞ埋めることはできなかった。コースに復帰した直後には、オコンと接触してスピンするシーンもあった。

 さらにレース最終盤には、ペースが遅いウイリアムズのカルロス・サインツJr.に追いついたが、ミディアムタイヤのデグラデーションが始まっていたためかオーバーテイクを成功させることができず……10位が精一杯だった。

 結果的に見れば、ソフトタイヤもしくはミディアムタイヤでレースをスタートしていれば、ピットストップのロスタイムを稼ぐことができるため、成功だったと言えよう。一方でハードタイヤを履いてスタートしたのは失敗であった。

 ただ失敗とはいえ、これはあくまで結果論。もしレース終盤までSCが出なければ、ハードタイヤでスタートしたメリットを享受できていたはずだ。また、もし2台揃ってハードタイヤでスタートすることになっていたら……せっかく速さがあったのに、大惨事につながっていたかもしれない。

 そう、今回のアルピーヌは速かった。メルセデス、フェラーリに次ぐ位置にいたと言えよう。順位ではベアマンに先行されたが、これはリスタート時のベアマンが優れていただけであり、レース終盤にガスリーが追い上げていることを見れば、アルピーヌの高いパフォーマンスを実感できる。彼らは昨年、コンストラクターズランキング9位だったのだ。

 ただアルピーヌは、開幕戦ではそこまで秀逸なパフォーマンスを発揮していたわけはない。チーム別という意味では、8番目くらいだったように思える。それを考えれば、今季しばらくは、コースの特性によって勢力図がガラリと変わる、そんなF1が見られるのかもしれない。

 次は鈴鹿サーキットでの日本GP。世界屈指の難コースを制するのは、一体どのチームか?

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