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吉本興業が漫画界に殴り込んだ伝説の休刊誌から蘇るアニメ「ガングリオン」、戦闘員サラリーマンの哀愁が令和の今に響く

吉本興業が漫画界に殴り込んだ伝説の休刊誌から蘇るアニメ「ガングリオン」、戦闘員サラリーマンの哀愁が令和の今に響く

アニメ「ガングリオン」が10月4日(土)より、BSよりもとで放送スタート
アニメ「ガングリオン」が10月4日(土)より、BSよりもとで放送スタート / (C)白岩久弥・いつきたかし/ガングリオン製作委員会

悪の組織に勤める戦闘員サラリーマンの悲哀と笑いを描いたショートコメディー「ガングリオン」(毎週土曜夜10:55-11:00)が、10月4日(土)より、BSよしもと(BS265ch※全国無料)にて放送を開始する。かつて同作が連載されていた伝説の漫画雑誌「コミックヨシモト」の歴史とともに、哀愁漂う「ガングリオン」を振り返ってみる。

■豪華すぎる布陣で挑んだ伝説の漫画雑誌「コミックヨシモト」とは?

「ガングリオン」と聞いて、パッと原作漫画のことが思い浮かぶ人は相当なお笑いフリークか、漫画雑誌をくまなくチェックしていた人だろう。同作は吉本興業が2007年に発行した漫画雑誌「コミックヨシモト」にて連載されていた、原作・白岩久弥、作画・いつきたかしによるお仕事系コメディーコミックだ。

主人公は株式会社ガングリオンの世界征服部門「ベルベ軍団」に所属する戦闘員、磯辺健司。彼は主任=中間管理職として、上司の無茶ぶりと部下の板挟みに苦しみながら宿敵のヒーロー、ホープマンと日々戦い抜く。

この「コミックヨシモト」、お笑い界の巨人・吉本興業が5億円もの巨費を投じ、漫画業界に殴り込みをかけたことで大きな話題に。「爆笑オンエアバトル」(NHK総合)、「M-1グランプリ」(テレビ朝日)などのヒットによりお笑いブーム真っ只中にあったことで世間的にも広く注目を集めていた。

コンセプトはズバリ、「お笑いと漫画の融合」。吉本所属の人気芸人たちが漫画の原作を手がけたり、芸人自身が主人公になったりするという、まさに吉本ファンにとっては夢のような雑誌だ。創刊号の表紙を飾ったのは、当時M-1グランプリ王者となって飛ぶ鳥を落とす勢いだったチュートリアルで、創刊号は人気芸人のネタを収録したDVDが付くなど並々ならぬ気合があふれ出ていた。

連載ラインナップもとんでもない。永井豪とダイナミックプロが描く、レイザーラモンHGをモチーフにした探偵漫画「探偵事務所H・G」。今なら各方面からツッコまれるだろうタイトルの「Dr.アホーの診療所」、ハリセンボンの2人のド付き合いコントを4コマ漫画化した「OLちゃんダイアリー」などなど、吉本ノリの漫画がずらり。

さらに、巻頭カラーはケガで引退したJリーガーが離島で再起を図る島田紳助原作のサッカー漫画「いつか見た島~Island Cowboys」が飾り、相撲通のデーモン小暮閣下(現デーモン閣下)が原作を描く王道青春相撲漫画「Geeks!」というものまであった。

すごい豪華だ。とても豪華だ。しかし、お笑い一本で行くのか、漫画勝負をしたいのか、どこか「ん?」と首をかしげてしまう内容だ。思うにサッカー漫画や相撲漫画は芸人ファンとは別に、純粋な漫画好きを取り込もうとして打ち出されたものだろう。実際、2作ともストーリーは骨太で、漫画もうまい。当時読んだ人たちの感想では高評価を得ていたようだ。

そんな戦略がちょっとばかり誌面を迷走させてしまい、同誌はわずか7号で休刊となってしまった。しかし、新しいことにチャレンジし、ダメとなったら潔く散る。「コミックヨシモト」は、そんな見事なオチも笑いの吉本らしい伝説を刻んだ漫画誌だった。

■中間管理職の悲哀が胸に刺さる!令和に蘇った「ガングリオン」の魅力

短い発行だったため連載漫画はほぼ知られていないが、人気を集めてコミック化された作品もいくつかある。今回アニメ化される「ガングリオン」はそんな中の一作だ。

密かに世界征服を目指す株式会社ガングリオンの下っ端怪人ならぬ、下っ端戦闘員の中の主任という微妙な中間管理職の主人公・磯辺健司は、上司のシャドー大佐から日々大したことのない“ここだけの話”を聞かされ、無茶ぶりの“上司命令”を受けて、覇気のない部下たちから文句を受ける悲しきサラリーマン。

“お仕事”のための“悪役の人生”をコミカルかつ、誰もが覚えがありそうなリアルな調子で切り取る視点が話題を呼び、クスリと笑える場面や胸に刺さる悲哀が読者を惹きつけた。


令和に復活した本作は「3分で響く新感覚のお仕事系アニメ」に仕上がっており、監督は「ドラえもん」「宇宙兄弟」「海獣の子供」「漁港の肉子ちゃん」「サマータイムレンダ」などを手掛けた渡辺歩。

さらに声優陣には、磯辺役に上田燿司、シャドー大佐役に立木文彦、宿敵ホープマン役に杉田智和という豪華な顔ぶれが並ぶ。また、屋台のオヤジ役としてお笑いコンビ・130Rの板尾創路も参加する。

BSよしもとでは10月4日(土)から放送がスタートし、地上波ではテレ東にて、3日(金)の夜1時53分から放送。全24話が予定され、1話3分というコンパクトさながら、働く人の心にグサリと響く余韻を残す。

一週間の終わりにホッとする…かどうかは分からないが、心を少し軽くしてくれる戦闘員・磯辺の哀愁と笑いを覗いてみてほしい。

◆文=鈴木康道


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