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「このような選手は、もう二度と現れない」“40歳の魔術師”がイタリアで第二の春を謳歌。ファンはまるで「生ける聖遺物」を拝むかのような…【現地発】

「このような選手は、もう二度と現れない」“40歳の魔術師”がイタリアで第二の春を謳歌。ファンはまるで「生ける聖遺物」を拝むかのような…【現地発】


 巨大なコンクリートの塔がそびえ立つサンシーロは、ブルータリズム建築の記念碑であり、一つの時代が終焉に向かっていることを告げる象徴でもある。ミラノ市はすでにこの聖地の解体日を決定したが、今、この場所は「明日なき巡礼者」のような大群衆で埋め尽くされている。彼らのお目当てはミランであり、その中でも群衆の視線を一身に集める。特別な一人の男だ。

 ピッチの上で彼を見つけるのは容易だ。身長は170センチそこそこ。フィールドに立つ誰よりも小柄でありながら、車輪の軸のように中央に陣取り、そして誰よりも年齢を重ねている。それがルカ・モドリッチだ。40歳になったクロアチアの至宝を、イタリアのファンはまるで「生ける聖遺物」を拝むかのような、迷信めいた畏敬の念で見つめている。一人の選手が、そのキャリアで6度もの欧州制覇を成し遂げるなど、一体誰が想像できただろうか。

 セリエA第13節、昨年11月末のラツィオ戦(○1-0)。開始早々の場面だった。左サイドでボールを持ったモドリッチは、定石に反する無謀な横パスを放った。案の定、相手にインターセプトされ、ゴール前への独走を許してしまう。サンシーロは一瞬、凍りついた。パスの受け手となるはずだった味方は、まるで自分のミスで「神話」を汚してしまったかのように、必死の形相で相手を追った。

 その数秒の遅滞が、モドリッチに時間を与えた。彼は全速力で自陣へと引き返し、エリア手前でボールを奪い返すと、何事もなかったかのように再びプレーを組み立て始めたのだ。かつての守備に厳格なイタリアであれば、老兵のミスは糾弾の対象だったはずだ。しかし、サンシーロに響いたのは万雷の拍手だった。

 今のセリエAは、かつて名手たちを疲弊させ、怪我に追い込んできた「世界で最も過酷なリーグ」ではない。イタリアは今やEU(欧州連合)で最も高齢化が進んだ国であり、成熟した社会の鏡のように、サンシーロの観衆はモドリッチが体現する「穏やかで落ち着いた知性」に自らを投影し、共感しているのだ。

 幼少期に旧ユーゴスラビア紛争の戦火を逃れた羊飼いの孫である彼は、現代の若手が好む派手な自己主張やデジタルな喧騒とは無縁の生活を送っている。その古風な職人気質こそが、マッシミリアーノ・アッレーグリ監督の目には、失われつつある「フットボールの真髄」として映っている。

「モドリッチのような選手は、もう二度と現れないだろう」とアッレーグリは感嘆を込めて語る。

「彼は他の誰にも見えないものを見、誰にもできないことをやってのける。その圧倒的な才能は、コピーすることさえ不可能な唯一無二のものだ」

 アッレーグリは彼を単なる贅沢な控えとしてではなく、チームの命運を預ける「操舵手」として据えた。40歳という年齢がもたらす運動量の低下を、指揮官は意に介さない。

 モドリッチには、歩きながら息を整える自由がある。リスクを冒してパスをミスする自由、あるいは守備の局面で流れに身を任せ、体力をセーブする自由すら彼には許されているのだ。

 なぜそれが許されるのか。それは、このミランが「モドリッチのためのエコシステム」として再構築されているからだ。息つく暇もないプレスが席巻するプレミアリーグのような環境とは異なり、セリエAには依然として、戦術的な駆け引きを許容する「余白」がある。

 アッレーグリは、屈強なボランチをモドリッチの「護衛役」として配置した。彼らが泥臭く走り、包囲網からの出口を示すように顔を出すことで、モドリッチは最も純粋な仕事――すなわち、その明晰な頭脳をボールの配給に100%注ぎ込むことができるのだ。
 
 アッレーグリが施した「簡略化」という戦術的アプローチは、実に効率的だ。自陣に深く引き込み、守りを固め、モドリッチが時間を操作し、ラファエル・レオンのような快速アタッカーを走らせる。

 かつてレアル・マドリーで最高の仲間たちと共に描いたカウンターの構図を、彼はミラノの地で見事に再現している。かつてミランやレアル・マドリーを率いた名将ファビオ・カペッロも、大手スポーツ紙『La Gazzetta dello Sport』に対し、相手にボールを持たせた方がミランは快適に見えると指摘した上でこう語る。

「アッレーグリには戦術の選択肢を無限に持てるほどの戦力はない。だが、だからこそ(カウンターに徹するという)現在のシンプルなプランが、最高の解答となっているのだ」

「これは単なるフットボールへの愛なんだ。私は心からこのスポーツを愛している」と、40歳の魔術師は語る。

 今年6月で満了する契約の先がどうなるかは、まだ誰にも分からない。しかし、これまでに幾度となく「限界」を宣告されながらも、そのたびに自分自身をさらに高い場所へと押し上げてきた彼だけが、その魔法の解き方を知っている。

 不惑を迎えた男がミランで謳歌する「幸福な晩秋」は、まだ終わる気配を見せていない。

文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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