レギュラーシーズンも大詰めのこの時期は、プレーオフに自動出場できる上位6位に食い込めるかが、中位チームにとっての一大目標だ。
イースタン・カンファレンスでは、5位タイのオーランド・マジックとトロント・ラプターズ(ともに38勝29敗)、そして7位マイアミ・ヒート(38勝30敗)がボーダーラインで競り合い、一戦ごとに順位が入れ替わるヒリついた争いとなっている。
そんななか、ラプターズは3月11日のニューオリンズ・ペリカンズ戦で、下位チーム相手に111-122と手痛い敗戦。今月に入って最初の5試合で4敗目を喫し、プレーイン・トーナメント枠の7位まで転落した。
シーズン序盤は9連勝をあげるなど上位争いを演じていただけに、ラプターズのダーコ・ラジャコビッチHC(ヘッドコーチ)は、「長いシーズンには、どのチームであっても厳しい時期を通過するもの」と冷静さを保った。
ただ一方で、「我々のベストなバスケットボールができていない。ここでどのように対処するかは自分たち次第だ」と修正を試みることを誓っていた。
その効果はすぐに表われた。続く2戦でフェニックス・サンズ(122-115)、今季勝ち星を奪えていなかったカンファレンス首位のデトロイト・ピストンズからも勝利(119-108)を掴み、プレーイン圏内の6位にカムバック。
挽回劇の裏には、チーム内での話し合いがあったと、エースのブランドン・イングラムは明かしている。コート上でのコミュニケーションを潤滑にしてチームが一丸となって戦うことを確認し合ったことが、好転のきっかけを作ったと28歳のフォワードは語った。
「ディフェンス、オフェンスの両面で、物事がうまく回り始める時期が来たんだと思う。ここ数試合は少し苦戦したけど、ようやく調子を取り戻せた。チームで話し合いもしたし、コート上での連携も良くなり、リードを奪われても反撃できるようになった。チームとして成長している手応えを感じているよ」
昨年2月にペリカンズから加入したイングラムだが、足首のケガで欠場を強いられ、今季待望の新天地デビューを飾った。ここまでチーム最多の平均21.9点と期待通りの働きを見せており、2月にロサンゼルスで行なわれたオールスターでは故障欠場のステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)に代わって出場している。
ピストンズ戦は、前半こそ5点ビハインドで終えたが、後半に入るとよりタイトなディフェンスで相手のリズムを狂わせることに成功。オフェンスでもチーム全体でボールをシェアし、第3クォーターに34-17と圧倒したことが大きな勝因となった。
「ケイド(カニングハム)には何度かドライブで突っ込まれたけど、とにかく全員が連携して対応することを徹底した。必ず誰かがヘルプディフェンスに入るように。それからヤック(ヤコブ・パートル)は本当に良い仕事をしてくれた。彼が攻守でボールを奪い取ってくれて、それがトランジションオフェンスを展開するのにものすごく助けになった」
ゲームハイの34得点を奪ったイングラムがそう称賛したパートルは、オフェンシブ・リバウンド9本を含むシーズンハイの18本を奪取。さらに21得点に5アシストと、攻撃面でも抜群の存在感を放った。
背中の筋肉系の故障により、約2か月間戦列から離れていた10年目のベテランセンターは、身長213cmを誇るチーム随一のリムプロテクターだ。彼の復帰も、ラプターズが終盤戦を戦い抜く上での追い風になる。
ラジャコビッチHCの言葉通り、82試合を戦う長丁場だからこそ、通年を通してパフォーマンスを維持する真の力が試される。
スランプを経験した数週間を経て、イングラム曰く「カチっと噛み合った感じがする」ラプターズは、ここから一段ギアを上げ、混戦を抜け出せるか。
文●小川由紀子
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