
「ガンガン行くのが東京のSB」徳永悠平×室屋成が語る“青赤サイドバック論”【FC東京】
徳永悠平と室屋成。FC東京の「2番」、「キャプテン」というキーワードでつながる両者が考える青赤サイドバック論、そしてチームが持つ可能性について大いに語り合ってもらった。
──室屋選手は昨年6月に東京へ復帰しました。どんなことを意識してプレーしてきましたか。
室屋 ドイツで長くプレーしたことで、一つ目の選択肢として、よりゴールをまっすぐにめざすことを考えるようになりました。だから東京に戻ってきて最初に思ったのは、みんな綺麗にサッカーをやり過ぎているなと。もっと素早くゴールをめざしたり、プレッシャーにいくと決めたら全員で激しくいったりしないと。組織で綺麗に守るのではなく、いけると思ったら行って、それに全員がついていく。そこはみんなにも伝えたし、より意識して自分もプレーしていました。
徳永 第3節の川崎フロンターレ戦を観て思ったのは、チームのプレー強度もそうだけど、シンプルにプレーするところとボールをつなぐところのバランスが良くて、率直に「強いな」という印象を受けた。これを続けていけば絶対に優勝争いはできるんじゃないかな。前線も含めてサボる選手が一人もいない。それは本当にすごいと思ったし、組織としても強い。もちろん一人ひとりの技術が高いのは当然だけど、それにプラスして、あれだけハードワークする選手がたくさんいる。昨シーズンの試合はそれほど多く見てないけど、そこは変わったところだと実際に見て感じたかな。
室屋 川崎戦は自分たちがやろうとしているつなぎながらの攻撃と、最短でゴールをめざす攻撃のバランスがうまくとれた試合でしたし、守備も組織的にも、個人のタイミングでも、うまくプレスにいけていたと思う。失点はしてしまいましたけど、かなり理想的な試合運びができたと思います。やっぱり、全員でゴールをガッとめざすくらいが東京らしいし、オレが好きな東京の姿なんですよね。
──歴代、うまくいっている時の東京はサイドバックの選手が点をとりますね。
徳永 そうですね。うまくいけば当然、前に関わる回数も増えるし、守備でも攻撃でも活き活きしてくる。だから、攻守において成が一番輝いていた。対面の伊藤達哉選手は良い選手だと思ってずっと見ていたから、成とのマッチアップは相当注目していました。イベント(試合当日に行われたOBトークショー)では、「長友(佑都)と家長(昭博)の経験豊富なレジェンドのマッチアップが楽しみ」って話したけど、本当は成と伊藤選手のマッチアップを一番楽しみにしていた。ほぼ何もさせなかったよね。
室屋 気合は相当入っていました。そこでやられたら終わりだなと思っていたので。
徳永 オレもそうだったけど、対面に良い選手がいると燃えるよね。
室屋 燃えますね。
徳永 これは“あるある”なんですよ。その想いがすごく出た試合だったし、本当にすごかった。それこそ日本代表に呼ばれてもおかしくないぐらいのパフォーマンスだったと本当に思いました。
──それでは、最後のトークテーマは“東京のサイドバック”です。長くそのポジションに立ち続けてきたお二人は、東京のサイドバックはどうあるべきだと思ってきましたか
室屋 やっぱり東京のサイドバックと言ったら悠平さんと(太田)宏介くんなんですよね。それがオレの理想で、宏介くんみたいな攻撃的なクロッサーが左にいて、右の悠平くんは相手に何もやらせない。常にバランスのいいポジショニングで、毎試合安定していてミスがない。試合終了の笛が鳴るまで、右サイドは何もなく終わらせる。それが理想で、常にオレの中には悠平さんと宏介くんというサイドバック像が存在してきました。悠平さんはブレない。悠平さんが焦る姿を見たことがないんですよね(笑)。
徳永 そこはそう見せていたのかもしれないね(苦笑)。
室屋 うまくいってない時でも、そこを見せないところがうまい。次のプレーで修正してしまう。そういうことをサラッとやるから。そこは悠平さんから学んだところだと思います。
徳永 昔と違って、今のサイドバックに求められている役割が多くなっているよね。ボランチ的なゲームを組み立てる要素も必要だと思うし。でも、でもですよ。ガンガン走って、球際が強くて、圧倒的な存在感を見せるサイドバック。やっぱりそれがFC東京のサイドバックだとオレは思うんだよね。今はインサイドにポジションをとる役割とかも求められるけど、川崎戦で両サイドバックが見せたプレーがやっぱり東京のサイドバックの姿だなって。ガンガンいって、球際でも相手に何もやらせないで圧倒する。あれがいい、見ていて気持ちがいい。
室屋 確かに。(長友)佑都くんがあんなにガンガンいくから。
徳永 オレも行かなきゃみたいになるよね。あの人が前にガンガン行ってるんだからって。
室屋 佑都くんが無尽蔵にずっといくから、「オレ、ちょっと迫力足りてねえな」って焦る。だから「自分もいかなきゃやばい」とすごく思うんですよ(苦笑)。
徳永 そういうことだよね。でも、ホントに長友佑都は異次元(笑)。
室屋 佑都くん、いつも試合に勝ったら「やっぱサイドバックは室屋と長友やな!」って言ってくれるんですよ(笑)
──もともとは徳永さんもそういう選手でしたが、年を重ねるにつれてバランスをとるようになっていきました。
徳永 いやいや、オレもずっとガンガンいきたかったですよ(苦笑)。
室屋 オレもちょっとバランスとるようになったと思います。以前のほうがもっと攻撃にいっていたと思います。
徳永 ただ、オレと比べたら段違いに強度が違うよ。自分のプレーはちょっと忘れたけど、全然違う。俺が32歳のときはマッシモ(フィッカデンティ)が監督で、そこは監督のスタイルにもよるとは思うんだけど、マッシモはイタリア人だから守備に重きを置いていたし、役割的にも攻撃は前線で完結させていたから。
室屋 あとは宏介くんが左でガンガン攻撃参加してクロスを上げていたから、逆サイドはそこを見ながらプレーしていたところもありますよね。そのバランスが悠平さんはうまいんですよ。
徳永 でもさ、理想は両サイドで攻撃できて、両サイドで守れるのが一番いい。今の二人はそこがすごいなと思う。どっちも攻撃でガンガンいけるし、守備では球際が強い。強度とか球際、運動量とか、フィジカル的な部分で成には勝てないなって思ったし、アップダウンの回数も含めて自分にはできないなって思わされたから。何度も言うけど、心の底から「勝てない」と思ったのは長友佑都と室屋成。それぞれの特長があるなかで、二人は自分と似たタイプの選手でもあったからだと思う。
──二人はリーグ戦で25試合一緒にプレーしています。
室屋 そうそう。結構悠平さんと同時に出てるんですよね。オレが左にいったり、悠平さんも左で出ていましたよね。
徳永 うん、それもあったと思う。でも、シノさん(篠田善之)が監督だった2017シーズンはハッキリしていたよね。成がリーグ戦で、オレはカップ戦に出るようになった。よく覚えているよ。シノさんから「お前も使いたいんだけど、成もいいんだよな」って言われたから。
──今後、室屋選手にもそういう後継者が現れてほしいですか。
徳永 そういう時はいつか必ずくると思うけど、自分が出続けたいよね。
室屋 それこそ今シーズンの若手はやばいんですよ。もうみんなうまくてびっくりします。今シーズン入ってきたルーキーの4選手もそうですけど、全員がうますぎて。
徳永 「あいつが来るかも」って感じる選手はいる?
室屋 若手もそうだけど、それは佑都くんにも感じています。オレは誰しもに感じていますね。
徳永 外から見ていたら、もう今のファーストチョイスは完全に室屋成なので。外から見ているのと、実際中でプレーするのは違うんだろうけど。
──徳永さんは、やっぱり東京に優勝してほしいですか
徳永 これだけ長く在籍していたからずっと気になっていますよ。本当に心の底から優勝してほしいと思うし、そうなったら本当うれしい。そのときはお祝いしに来ないとね。
室屋 来てください。それは絶対に呼びますよ、レジェンドだから。ちなみに東京で何シーズンプレーしたんですか
徳永 12シーズンかな。JFA・Jリーグ特別指定選手時代を入れると、14シーズンだと思う。
室屋 モリくん(森重真人)と、同じぐらいなのかな。
徳永 モリゲ(森重)ってJ1リーグ戦の歴代出場記録で、トップ10くらいまで入っているでしょ。
──ちょうど歴代10位、513試合に出場しています。
室屋 東京に帰ってきて久々に一緒にプレーしていますけど、えぐいですよ。全然パフォーマンスが落ちてないし、むしろ上げてきている。あの人もバケモノです。
徳永 うれしいよね。それが楽しみ。同じピッチでプレーした選手が頑張っているのは刺激にもなるし、家でソファーに座っていて「オレ、何やってんだろう」って思う。
室屋 そんなこと思うんですか(笑)?
徳永 試合を観たり、みんなと話をしたりすると、選手は身体のケアとかをして最高の準備をして、一日一日をすごく大事に過ごしている。だからそう思ってしまう。だから、こうしてスタジアムとか練習場に来ると、すごくいい刺激をもらうんだよね。やっぱプロの超一流の選手と話したら、あらためて「すげえな」って思う。
室屋 悠平さんって何歳で引退したんですか?
徳永 37歳。
室屋 めっちゃプレーしているじゃないですか。それでもそう感じるんですか?
徳永 自分としては「キツすぎる」って思ってやめたのに、モリゲとか佑都とかを見ると、もう信じられない。
室屋 いやいや、37歳でも信じられないですよ。自分があと5年もプレーできるのか分からないです。
徳永 あと5年はできるよ。ただ、佑都みたいには…。
室屋 試合終盤でもビンビンにカウンターで出て行くから。だからオレがバランスをとって、後ろで守っています(苦笑)。なので、何とかして出てくる若手を跳ねのけて、このポジションを守りたいですね(笑)
徳永 優勝してほしいよ、本当に。キャプテン室屋で優勝する姿をオレは見たい。
室屋 そうですね、選手は揃っているので、自分たち次第だと思っています。監督も素晴らしいし、監督のやりたいサッカーと選手たちの特長がいい感じでミックスされてきています。だから、もっともっと上のレベルに行けると思うし、このチームでタイトルを獲りたいです。
取材・構成●馬場康平(フリーライター)
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