フェラーリは、F1中国GPでポテンシャルの高さを示したものの、メルセデスにはまだ届いていないこともまた明白となった。
中国GPでは、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールがメルセデス勢と何度も抜きつ抜かれつのバトルを演じた。しかしハミルトンの3位表彰台が精一杯であり、優勝したアンドレア・キミ・アントネッリからは25秒遅れ。現時点でメルセデスの唯一のライバルと見られるチームにとっては厳しい現実でもある。
その差は1周あたり約0.45秒。メルセデスの支配を崩すには大きすぎる。その差の大部分はストレートで生まれており、上海の最初の2セクターではメルセデスとほぼ互角であるものの、長いストレートがあるセクター3で大きくタイムを失っており、ここで約0.3秒近く遅れているのだ。
中国GP後には、レギュレーションの調整について会議が行なわれ、5月のマイアミGPに向けて変更が導入される可能性があるものの、フェラーリはメルセデスとの差を縮めるために全力を尽くさなければならない。バッテリーマネジメント戦略や電気エネルギーの最適な使い方を理解することと、V6エンジンの出力不足を解消することは全く別の課題だ。
フェラーリ内部では、メルセデスとの比較で約20〜25馬力不足していると見積もられている。この差の一部は、メルセデスが16:1以上の圧縮比を実現していることに起因していると見られる。
圧縮比の検査方法が変更されたことで、6月1日からは規制がされる見込みだが、ペトロナスがメルセデスに供給している燃料も重要な要素であり、高い圧縮比に最適化された燃料がパフォーマンスを引き出している。
さらにタービンのサイズも影響している。フェラーリの小型ターボはスタート時の素早いブーストアップに有利だが、最大出力においては不利になる。
フェラーリはエンジン面での差を縮めるためパワーユニット(PU)の性能格差救済の制度、通称ADUOの適用を待っているが、その間はシャシー開発に注力している。フェラーリのSF-26はシャシーと空力の面では優れたポテンシャルを持っていると認識されているからだ。
そのためロイック・セラ率いる技術陣が期待するパフォーマンスを引き出すべく、開発スケジュールを加速させている。
中国GPでは、フリップ・フラップともマカレナウイングとも呼ばれる、フラップが回転する斬新なリヤウイングがフリー走行で初投入された。両ドライバーはデータ収集のためにこれを使用したが、その後は取り外された。このことから、一部ではすぐにこのウイングが”失敗作”と判断されたが、実際はそうではない。
確かに中国GPでは使われなかったが、このウイングはすべてのレースに適したものではないとチームは考えている。本来はバーレーンGPでデビュー予定だったが、中東2戦の中止により前倒しでテストされ、日本GPでの使用が有力視されている。
中国GPで明らかになったのは、フリップ・フラップの作動タイミングの最適化が必要だという点だ。フロントウイングの可動とのバランスが取れておらず、空力バランスに問題が見られたのだ。
前後のウイングで同時に稼働した場合、フラップが回転する分、ダウンフォースが復活するのはフロントの方が早くなる。ブレーキングゾーンではリヤで強力な回生が行なわれることもあり、リヤの安定性はこれまで以上に重要なのだ。
それでも、このテストで得られたデータは今後のシミュレーションにとって非常に重要となる。このリヤウイングはまだ開発初期段階にあり、標準仕様の最適化が進まない限り、さらなる進化版の投入は難しい。
鈴鹿では、空力効率を高め、ウイングを開いた際の空気抵抗を低減しつつ、走行中のダウンフォースも向上することが重要となる。
フェラーリは現在、明確に進化の途上にある。フェラーリは中東情勢によって生じた4月の休止期間を経て、シーズンが再開される5月のマイアミGPで大規模アップデートを予定している。そのためにも、日本GPでフリップ・フラップを再度テストする可能性も十分あるだろう。

