
BTSが3月20日(金)にニューアルバム『ARIRANG』を引っ提げ、待望のカムバックを果たす。7人完全体でのアルバムは、2022年6月にリリースしたアンソロジーアルバム『Proof』以来、約3年9カ月ぶり。オリジナルフルアルバムでは、2020年2月に発売した4thアルバム『MAP OF THE SOUL:7』以来、約6年ぶりとなる。今回はそんな彼らの“カムバ”を記念して、デビューした2013年からの軌跡を紹介しよう。
■不遇の時代にもめげずに前進し続けた7人
RM、JIN、SUGA、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人がBTSとしてデビューしたのは、2013年6月13日。当時、韓国大手のJYPエンターテインメントでプロデューサーとして活躍し、その後独立したパン・シヒョク氏が立ち上げたBig Hit Entertainment(現HYBE)所属の7人は、まだ弱小事務所だったがゆえにテレビに出演するだけでもひと苦労だった。出られたとしても出演シーンは少なく、着替えもトイレでしていたことは、ARMY(ファンの総称)の間では有名な話だ。
だが、練習生時代の共同生活を通して絆を築いてきた7人は、そんな逆境や批判にも耐え、兄弟のようにけんかもたくさんしながら、自分たちの道をひたすらに突き進んできた。そうして、デビュー2年目から14カ国22公演の単独ワールドツアー「BTS 2014 LIVE TRILOGY : EPISODE II THE RED BULLET」を成功させるなど、国内だけでなく、国外でも積極的に活動していった。
2015年4月にリリースした3rdミニアルバム『花様年華 Pt.1』から始まった「青春三部作」が、言語を超えて同じ悩みや思いを抱える人々の心をつかみ、彼らを包む熱気が世界中に広がっていくことになる。
■想像を絶する嵐のようなスケジュール…世界的ポップスターへ
その結果、2016年3月に米国の世界的ビジネス誌「Forbes」にて、カニエ・ウェストやジャスティン・ビーバーを押さえて、「ここ30日間で最もリツイートされた10のアーティスト」の1位に選ばれ、2017年5月の「ビルボード・ミュージック・アワード 2017」では、「トップ・ソーシャル・アーティスト賞」を6年連続で受賞していたジャスティン・ビーバーを破って受賞した。
同賞は翌2018年も2年連続で受賞し、2019年の「第61回グラミー賞」には、「最優秀R&Bアルバム賞」のプレゼンターとして韓国人アーティストでは初めて登壇するなど、7人は次々と金字塔を打ち立てていく。
だが、これだけの快挙を達成するためには、想像を絶するスケジュールをこなす必要があった。その頃には韓国内での評価も高まり、2018年末の韓国の「第10回Melon Music Awards」では2つの大賞を含む7冠に輝いた一方で、「2018 Mnet Asian Music Awards(MAMA) in HONG KONG」の受賞の席では、JINがこの年の初めにグループに解散の危機があったことを告白し、それを聞いたメンバーの多くが涙を流した。
その言葉通り、疲労こんぱいの状態でステージに向かう姿は、ディズニープラスで独占配信されているドキュメンタリー「BTS Monuments: Beyond The Star」でも見ることができる。同作でも語られているが、彼らは「投げ出したい」という気持ちと「歩みを止めたくない」という、相反する思いを抱えながら活動を続けていった。一体何が彼らを突き動かしたのか。その答えをある授賞式でRMが語っている。「(ARMYに対して)僕たちがこの仕事を続けられる理由になってくれて感謝しています」と。

■ファンへの感謝の気持ちを胸に“軍白期”も多数の作品を準備
RM、JIN、SUGA、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人は、テレビに出られない悔しい時代も多忙過ぎて壊れそうな時期も支えてもらっていたことから、何よりもARMYを一番に考えて行動してきた。それは徐々に入隊するため、7人での活動ができなくなる2022年のソロ活動の幕開けから、2026年“完全体”復帰直前までの期間、いわゆる“軍白期”(軍隊と空白期を組み合わせた言葉)もしかりで、常にARMYに寂しい思いをさせないように、入隊前からあらゆるコンテンツを準備していた。
J-HOPEのアルバム『Jack In The Box』と『HOPE ON THE STREET VOL.1』、JINのシングル「The Astronaut」、RMの『Indigo』と『Right Place, Wrong Person』、JIMINのアルバム『FACE』と『MUSE』、SUGA(Agust D)のアルバム『D-DAY』、Vのアルバム『Layover』とシングル「FRI(END)S」、JUNG KOOKの『GOLDEN』など、いずれも個性の光る作品ばかり。
加えて、SUGAのアルバム制作からライブまでを追った「SUGA: Road to D-DAY」やJIMINとJUNG KOOKの旅バラエティー「Are You Sure?!」、除隊後に行われたJINとJ-HOPEのソロワールドツアーを追ったライブドキュメンタリーなどの映像作品も多数あった。一つ一つの作品に込められたのは、ARMYへの感謝の気持ちだ。
そんな彼らが、ついに7人の完全体で活動を再開する。全員が除隊した2025年半ばに米国ロサンゼルスに集結して再び7人で共同生活しながら制作したアルバム『ARIRANG』を3月20日(金)に発売し、その翌日の21日(土)には韓国・ソウルの中心部にある光化門広場に設置した特設ステージでカムバックライブを開催。この模様はNetflixで世界配信され、世界各国のARMYに届けられる予定だ。
BTSもARMYも待ちわびた“再会”の日がついにやってくる。会えない時間があったからこそ、さらに気持ちが盛り上がり、熱狂に包まれることは間違いない。
◆文=及川静

