発見のカギは“先住民の知識”と“偶然の写真”
この発見にたどり着くまでには、20年以上の調査が必要でした。最初の手がかりが得られたのは、1999年。しかし確実な証拠となる写真や標本がそろうまで、長い年月がかかったといいます。
例えば、ピグミー・ロングフィンガード・ポッサムは、1992年に採集された標本が博物館にありましたが、当初は別の動物と誤って分類され、教育用資料として扱われていました。また、2022年には野生動物観察サイトの調査で撮影された写真が重要な証拠となりました。
リングテイル・グライダーも2015年、西パプアの森林で偶然捕獲された個体の写真が決定的な証拠となりました。
さらに大きな役割を果たしたのが、現地の先住民コミュニティです。研究者たちはタンブラウ族やメイブラット族の長老たちと協力し、動物の生息情報を得ながら調査を進めました。
地元では、このグライダーは「トゥース」と呼ばれ、神聖な動物として大切にされているといいます。
奇跡の発見が示す、まだ知らない地球
今回の動物たちが生息しているフォーゲルコップ半島は、かつてオーストラリア大陸の一部だった地域とされています。そのため、研究者たちはこの森の中に、まだ知られていない古代の生物が残っている可能性があると考えています。
ただし、これらの動物の生態や正確な分布は、まだほとんど分かっていません。密猟や違法取引を防ぐため、具体的な発見場所も公開されていない状態です。
また、リングテイル・グライダーは生涯、同じペアで暮らし、1年に1匹しか子どもを育てないと考えられています。樹洞に巣を作るため、森林伐採の影響を受けやすい動物でもあります。
今回の研究は、未知の生物がまだ地球に残されている可能性と同時に、熱帯雨林を守ることの重要性を強く示すものとなりました。
フラナリー氏は今回の発見について、こう語っています。
「これは生物学者としての私のキャリアの集大成と言えるでしょう」
絶滅したと考えられていた生き物が、森の奥で生き続けていた。今回の発見は、地球にはまだ人類が知らない生物が存在する可能性を、あらためて示すものとなりました。

