スウェードのメリット3選
ブーツやジャケットを筆頭に、多くのプロダクトにスウェードが採用される理由とは。ここでは、知っておくべきスウェードの3つの利点を紹介する。
【メリット①】撥水性に優れる!

スウェードが「銀面の裏側をサンドペーパーなどで起毛させたもの」だということは先述の通り。起毛させることで表面が毛羽立ち、表面の毛が水分を水滴のように弾くという効果がある。表面に凹凸がある分、表面積が広くなり、水分が革の表面に対して垂直に落ちていくのを防ぐというわけだ。
逆に水分に弱いと言われているコードバン(馬の臀部の層を削り出した革)は繊維が革の表面に対して垂直に走っているため、水分がダイレクトに浸透してしまうのである。ただでさえ水分に強いスウェードは防水スプレーを吹きかけることで、水の侵入をほとんど許さないほどになる。したがって、雨の日用のシューズとしてスウェード素材のブーツを選ぶファッション業界人も多い。
【メリット②】傷が目立ちにくい!
ツルっとしたスムースレザー(表革)は、表面の毛足が均一でかつ光沢があることで、傷が入るとかなり目立ってしまうのが難点だ。それに対してスウェードは毛足が立っている分、傷が目立ちにくいのもポイント。傷と同様にシミも目立ちにくい。起毛させたスウェードには毛足があるため、仮に傷がついた場合もブラッシングをして毛足を整えることでかなり目立ちにくくすることができる。
スウェードの悩みのひとつとして挙げられる黒ずみに関しても、消しゴムで擦ったり、ヤスリで削ったり、ライターなどで炙るなどの様々な方法で対処することが可能だ。

長年使い込んでもキズやシミが気にならない!
【メリット③】強度が高い!

スウェードやラフアウトがワークブーツやマウンテンシューズなどに多くみられる理由は強度に優れているから。革のなかで最も強度が高いと言われているのが銀面(表革)であり、その裏側であるスウェードは同じく強度が高く、毛足があることでひび割れが起きにくいという点もポイントだ。
アッパーがスウェードやラフアウトのシューズが多く存在するのは言わずもがな、スムースレザーを採用しているシューズにおいても、ヒールや履き口の補強パーツとしてスウェードが貼られているようなプロダクトも多数存在する。やや厚みのあるスウェードは写真のように両側から全力で引っ張っても破れる気配がまるでなく、普通のハサミではきることができないほどの強度を誇る。
スウェードの名門「チャールズ・F・ステッド」とは?
世界各国に存在する有名タンナー・「〇〇レザーといえばあそこ」という位置付けのタンナーが存在するなかで、スウェードに関していえば、英国の老舗「チャールズ・F・ステッド」を押さえておけば十分である。

1904年に英国・リーズにて創業したチャールズ・F・ステッド。100年以上の歴史を誇り、世界各国の有名ブランドがこのタンナーの製造した革を採用してプロダクトを作っている。第二次世界大戦中には軍用の衣服や靴などの供給を担った経歴を持ち、その過程のなかで高品質なスウェードの製造技術を獲得していき、現在では、「スウェードといえばチャールズ・F・ステッド」という評価を獲得している。
有名な例を挙げると、同じ英国の老舗シューメーカー・クラークスは70年以上にわたって同社のスウェードを使用。クロケットアンドジョーンズやトリッカーズといった英国の革靴の聖地・ノーザンプトンの歴史あるシューメーカーも同社の作るハイクオリティなスウェードを信頼し、採用している。なかでも毛足が長く、落ち着いた色使いと手触りの良さが特徴的なスーパーバックが同社のスウェードの最高峰のひとつとして知られる。



写真はチャールズ・F・ステッドのヤヌスカーフと呼ばれる素材。毛足の長いスーパーバックに対して、長すぎず短すぎずの程よい毛足の長さで、ベルベットのようなしなやかさを誇り、耐久性にも優れる。同社を代表するスウェードのひとつであり、こちらもクロケットアンドジョーンズをはじめとする高級紳士靴メーカーが採用している。同じ茶スウェードでも、ミディアムからダークまで幅広いカラーを揃えている点も特徴だ。