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「とりわけ目立っているとは思わない」208cmの巨人が語る献身の哲学 日本代表に現れた空中戦の支配者【ラグビーリーグワン】

「とりわけ目立っているとは思わない」208cmの巨人が語る献身の哲学 日本代表に現れた空中戦の支配者【ラグビーリーグワン】

2025年秋、念願叶ってラグビー日本代表になった。

 オーストラリアから20年に来日のハリー・ホッキングスは、統括団体の定める連続居住要件を満たして異国のナショナルチームで代表戦デビューを果たした。

 現地時間11月15日。敵地カーディフのプリンシパリティ・スタジアムでのウェールズ代表戦に後半9分から出場する。

 試合は23―24で惜敗。自身もノーサイド直前にイエローカードを食らったとあり、試合直後は「色んな感情が入り混じった」。たどり着きたかった舞台に達した半面、自身のプレーに関する判定の妙もあり白星を逃してしまった。悔しさがにじんだ。

 もっともこの人、今後の日本代表にあって不可欠な存在となりそうだ。
  身長208センチ、体重124キロという恵まれたサイズを誇り、空中戦のラインアウトを統率し、激しいタックルと接点への絡みでも爪痕を残すからだ。列強国と比べ小柄な通称「ブレイブ・ブロッサムズ」にあって貴重なタレントだ。2月に発表された、2026年の日本代表候補メンバーにも名を連ねた。

 一線級のアスリートの群れにあってもひときわ大きく、激しく、普段は慎ましい27歳は、27年に母国で開かれるワールドカップをこう展望する。

「日本代表としてワールドカップに参加するのは夢です。ただ、その権利はただ与えられるものではありません。まずは、サントリーでいいプレーをしてパフォーマンスをする」

 その言葉通り、目下、ハードな通常業務に勤しむ。この国に来てからずっと所属する東京サントリーサンゴリアスの一員として、国内リーグワン1部に参戦中だ。

 責任企業の商品にちなみ「響グループ」と名付けられたリーダーズグループの一員であり、副将でもある通称「ホッコ」。ロックのポジションでスターターを託されては、走りまくり、ぶつかりまくり、ミックスゾーンで「ハードワーク、していますね」と問われるや「皆、ハードワークしています」。手柄を誇らない。

 本音に近い感情をチャーミングに漏らしたのは、2月22日の東京・秩父宮ラグビー場。横浜キヤノンイーグルスを54―22で下した直後だ。

 この日は前衛の防御網でひたすらクラッシュしながら、向こうが接点から高い弾道を蹴り上げれば、後ろの落下地点へ駆けつけキャッチを試みていた。

 キックしてきたのは土永旭。イーグルス期待のスクラムハーフで日本代表でもホッキングスと一緒だったこの23歳は、蹴る方角に背中を見せて足を振り抜くオーバーヘッド気味の形も披露してきた。

 これは防御をだますための工夫だが、ホッキングスは、土永の視線が向こうに動いた時点で球が飛んできそうな場所へ先回りしていた。「ユニークなスタイルでしたね」と先方を讃えつつ、自身はたまにあったファンブルを「改善ポイントです」と反省するのみだ。

 いずれにせよ、地上戦でも、空中戦でも献身し、頭も使っている。いくら何でも大変ではないのか。その調子で問われると、リスニング力が向上中の日本語で応じた。

「…きつい」

 ここからは笑みを浮かべ、英語で言い直した。

「チームのためだったら、誰でも頑張るのではないでしょうか。私自身がとりわけ目立っているとは思っていないです」
  シーズン中盤にあたるいま、他のほとんどのチームがしていない8連戦を強いられている。2月8日に実施予定の第7節が、当日の積雪のため休息週の3月7日に組み込まれたためだ。

 ポジションによってはスコッドを入れ替えて激戦を乗り切らんとするクラブにあって、ホッキングスは第11節終了時点で常に先発を託される。
 
 12月中旬の開幕からずっと、である。

「(選手起用は)コーチ陣(の決断)次第ですが、できるだけ試合に出たいです」としながら、ワールドカップへのスタンスに通じる信念を述べる。

「ここからは、そんなに先のことを考え過ぎずに1週間ごとに戦っていく。将来のことを考えすぎると、目の前のことに集中できない。まずは次の仕事をすることが大事です」

 3月15日にも秩父宮に立ち、2連覇中の東芝ブレイブルーパス東京との第11節に臨んだ。本拠地が近い者同士の人呼んで「府中ダービー」。どちらも火花を散らすこのカルチャーについては、ホッキングスもよく理解していた。

「両チームともこのダービーが好きで、常にいい展開を繰り広げています。全員が情熱を持って、この試合に挑んでいたと思います。特に向こうはディフェンディングチャンピオン。簡単ではない試合になるとも考えていました」

 直前までの連敗を4で止めたかったブレイブルーパスは、キックオフ早々に推進力を示した。主将のリーチ マイケルの突進また突進。サンゴリアスは気圧されるか。否。そうはならなかった。

 前半2分頃、自陣22メートルエリア左でブレイブルーパスがモールを組もうとする。ボール保持者を軸にした塊だ。

 そこへ攻防の境界線の向こう側から長い腕を伸ばし、楕円球のありかへ手のひらをつけ、モールにあるべき選手間の繋がりを断ったのがホッキングスだった。攻撃権を奪った。

「強い東芝のモールに対してしっかり準備してきたので」

 立ち上がりのピンチを防いだサンゴリアスは、万事でスピードを重んじ60―21と今季7勝目をマーク。12チーム中4位につける。まずは6傑が進むプレーオフ行きと、旧トップリーグ時代の17年度以来の日本一を狙う。

 ワールドカップでの成功は、念頭に置きつつも過剰には意識しない。「まずは次の仕事をすることが大事」がモットーだからだ。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)
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配信元: THE DIGEST

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