
【今さら聞けないサッカー用語:5レーン】ピッチ全体を効率良く使うのが目的。ただし、指導者が気をつけるべきことがある
聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第15弾は「5レーン」だ。
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ピッチを縦方向に5つのレーン(エリア)に分割して考える戦術的な概念。具体的には、左ウイング、左ハーフスペース、中央(センターレーン)、右ハーフスペース、右ウイングという5つの縦の通路として、俯瞰的にピッチを整理することだ。この考え方は、攻撃時のポジショニングを明確にし、ピッチ全体を効率良く使うのを目的としている。
サッカーでは、ボールの周辺に選手が集まりすぎるとスペースが失われ、相手守備にとって対応がしやすくなり、動きや使うエリアが被ってしまいやすい。
そこで5レーンの考え方では、各レーンにバランス良く選手を配置することで横幅を最大限に広げ、相手の守備ブロックを横方向に引き伸ばすことを狙う。守備側の選手同士の距離が広がれば、その間にスペースが生まれ、縦パスやドリブルによる侵入が可能になる。
特に重要視されるのが、中央とサイドの間に位置する「ハーフスペース」だ。ここは中央ほど守備の密度が高くなく、サイドほどプレーの方向が制限されないため、攻撃の起点として非常に有効なエリアとされる。
多くのチームでは、インサイドハーフやウイングがこのハーフスペースに入り、外側のウイングがタッチライン際で幅を取ることで、相手守備に複数の判断を迫る構造を作る。
5レーンの考え方はポジション固定のためのものではなく、あくまでスペース管理の原則である点も重要である。選手は状況に応じてレーン間を移動するが、同じレーンに複数の選手が重ならないようにすることで、チーム全体の配置バランスを維持する。
たとえば、サイドバックが高い位置を取る場合、ウイングが内側に絞ってハーフスペースを使う形で、互いにレーンを補完し合う動きが生まれる。この概念は、ボール保持を重視するチームの戦術と深く結びついている。
相手の守備ブロックを動かしながら隙間を作り出し、そこにパスやドリブルで侵入する攻撃のプロセスを整理するために、5レーンは一つの指針として機能する。ピッチを単なる広い空間としてではなく、役割を持ったゾーンの集合体として捉えることで、チーム全体のポジショニングや動きがより論理的に構築されるのだ。
こうした仕組みを理解したうえで、1つのアレンジとして”レーン被り”を攻撃に活かすのは、必ずしも間違いとはいえない。5レーンは現代サッカーにおいて攻撃の構造を理解するための基本的なフレームワークであり、選手の配置やスペースの利用、守備ブロックの崩し方を体系的に整理するための重要な戦術概念となっている。
ピッチ上の位置関係を明確にすることで、チームはより効率的にスペースを活用し、組織的な攻撃を展開するのが可能になる。守備側も、11人の選手がいかに全体をカバーしながら、相手の狙うスペースを埋めていくかを考える意味で、5レーンの共通理解は非常に大切だ。
攻撃のエリアや選択肢を限定しながら、うまく誘い込んでボールを奪えば、カウンターから絶好のチャンスが生まれる。基本的には攻撃側も守備側も5レーンを意識しながら狙う、埋めるといった行動を繰り広げていく。
ただし、最近の指導者が気をつけないといけないことがある。5レーンやポジショナルプレーの概念を理解することはあくまでベースであり、戦術的な共通理解を整理したうえで、選手の個性や発想を発揮させてこそ、実用的になるのだ。
文●河治良幸
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