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「米は毎年植え替えるもの」は変わるかもしれない――稲の多年生化への鍵を発見

「米は毎年植え替えるもの」は変わるかもしれない――稲の多年生化への鍵を発見

「長生きする米」を実際につくりだすことに成功した

通常のイネは1年で死んでしまいますが、今回の研究で作られたイネはそうではありません
通常のイネは1年で死んでしまいますが、今回の研究で作られたイネはそうではありません / Credit:Resetting of a tandem microRNA156 enables vegetative perennial growth in rice

研究者たちは次に、この仕組みを普通の米でも再現しようとしました。

そこで、野生イネに見つかった若返りの仕組みを交配で取り込み、さらに地面を這うように広がる性質も組み合わせました。

すると、できあがった稲は見た目も育ち方も野生イネにかなり近づきました。

枝が横に広がり、節から新しい根を出しながら、イチゴのように増えていったのです。

論文では、この特別な稲を「類野生稲」と呼んでいます。

この類野生稲は、海南島の温暖な試験環境で少なくとも二年以上生き続けました。

普通の米なら一度の収穫で終わるところを、この稲は成長をくり返したのです。

ここまでくると、「一度植えたら何度も収穫できる米」という未来像も、ただの空想ではなくなってきます。

ただし、ここですぐに「毎年植えなくてよい理想の米が完成した」とは言えません。

少なくとも今回の系統では、新しく伸びた多くの枝がうまく実をつけませんでした。

長く生きることと、毎年しっかり収穫できることは、まだ別の問題なのです。

それでも、この研究が大きな意味を持つことは変わりません。

一年で終わる米を、何年も収穫できる作物へ変えていくための手がかりが、かなり具体的な形で見えてきたからです。

もし改良が進めば、田植えや耕作の負担を減らし、米づくりの姿そのものを変える可能性があります。

土を何度もいじる回数が減れば、環境への負担を軽くできる可能性もあります。

しかも、この仕組みは米だけの話で終わらないかもしれません。

研究チームは、似た仕組みがほかの穀物にも関わる可能性を見ています。

この研究は、その第一歩としてとても興味深いものです。

米は毎年植え替えるもの――そんな常識は、これまであまり疑われてきませんでした。

ですが今回の研究は、その当たり前が、じつは変えられるかもしれないことを示しています。

元論文

Resetting of a tandem microRNA156 enables vegetative perennial growth in rice
https://doi.org/10.1126/science.adv2188

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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