新たな治療選択肢となる「分子標的薬」への期待
従来、慢性特発性蕁麻疹の治療は抗ヒスタミン薬が中心でしたが、これだけでは症状のコントロールが不十分な患者さんが60%以上存在することが分かっています。しかし近年、病気の原因となる物質をピンポイントで狙い撃ちする「分子標的薬」が登場し、治療の選択肢が大幅に広がりました。
「皮膚の内側に原因があって起こる『蕁麻疹』の治療は飲み薬がメインで、皮膚表面の炎症である『湿疹』は塗り薬がメインの治療法だということも今日初めて知りました」と高橋さん。「きちんと受診して、その時に合ったお薬を使うことの大切さを感じました」と話します。

福永先生は「分子標的薬の登場により、従来の標準治療では効果不十分だった患者さんを1割以下まで減らせる可能性があります」と期待を示します。一方で、調査によると93.5%の患者さんがこの新しい治療選択肢の存在を知らないという現実も明らかになりました。
「症状が出た時に写真を撮ったり、UCTスコアというツールを使って症状の程度を客観的に伝えたりすることが重要」と福永先生はアドバイス。

慢性特発性蕁麻疹は、治療によって「症状が現れない状態を目指せる」疾患だからこそ、患者と医師のコミュニケーションを改善し、一人ひとりに最適な治療法を見つけることが重要です。
長年症状に悩んでいる方は、諦めずに専門医に相談してみてはいかがでしょうか。
