ポジティブな感情とスポーツ観戦
近年、ポジティブな感情が人の認知や行動を広げるといわれています。心理学者バーバラ・フレドリクソンが提唱した「拡張‐形成理論(Broaden and Build Theory)」によると、喜びや興奮といった感情は思考の幅を広げ、長期的には心理的資源を形成するとされています。
スポーツ観戦は、このポジティブ感情を自然に生み出す行為のひとつです。勝利した場面や感動的なプレーを見ると、私たちは一時的に気分が高まり、「わたしも頑張らなきゃ!」といった前向きな感情を経験しますよね。その感情は、日常生活のストレスを緩和し、心理的な回復力(レジリエンス)を高める可能性があるのです。
世界規模の「共有体験」
現代では、スポーツ観戦は個人の体験であると同時に、SNSや配信サービスの普及によって、世界中の人々が同じ瞬間を同時に目撃することが可能になりました。ゴールが決まる瞬間や、金メダルが決まる瞬間、奇跡の逆転が起こる瞬間などを、数百万、時には数億の人が同時に見ている……そう思うと現代社会ってすごいですよね。
社会学では、同じ出来事をきっかけに、多くの人が同じような感情を共有する状態を「集合的感情」と呼びます。
たとえば、スポーツの試合でゴールが決まった瞬間。スタジアムの観客が一斉に歓声を上げたり、テレビやSNSでも同時に喜びの声が広がったりしますよね。これは、一人ひとりの感情が周囲の人の反応によって影響を受け、集団全体に広がっていくために起こる現象です。
また、現地で人々が同じ場面を共有することで、強い一体感や高揚感を感じる状態を「集合的高揚」とも言います。
たとえば、スタジアムで何万人もの観客と一緒に同じチームを応援して、同じ瞬間に歓声を上げると、一人で見ているときよりも喜びが大きい気がしませんか?このような時、自分ひとりだけの感情を超えた、大きな盛り上がりが生まれているのです。
