
「J3でプロキャリアをスタートした気持ちを忘れず」安藤智哉が森保Jのサバイバルに挑む。そして残留争いを戦うザンクトパウリの救世主に【現地発】
今季のドイツ・ブンデスリーガ1部は、残留争いが大混戦になっている。藤田譲瑠チマら日本人3選手が所属するザンクトパウリも巻き込まれており、27節終了時点で、勝点24の16位。苦境から何としても抜け出さなければならない状況だ。
現地3月22日には、鈴木唯人を擁するフライブルクとホームで対戦。ELで8強入りを決めた難敵を相手に、厳しい試合が予想された。
24分には、右CKから首尾よく先制点を手に入れる。これをお膳立てしたのが安藤智哉だ。打点の打開ヘッドをダネル・シナニにつなぎ、1月の加入後初アシストを記録したのである。
ザンクトパウリはリーグ最少得点チームということもあり、この1点を確実に守り切りたかった。前半を1-0で終え、迎えた後半。一気にギアを上げてきたフライブルクの猛攻を受け、耐え忍ぶ展開を強いられる。
そこで守備陣が中心となって跳ね返せれば良かったが、65分に一瞬の隙が生まれ、イゴール・マタノビッチに同点弾を許してしまう。3バック左に陣取る安藤はオフサイドをアピールしたが、判定は覆らなかった。
さらに78分には、鈴木の強引なドリブルでの持ち上がりから、最終的にはマタノビッチに逆転弾を献上。そのまま1-2で敗れた。
これで直近3戦未勝利。降格圏脱出も叶わず、安藤は改めて危機感を募らせた。
「先制点が取れて、ゲーム運びとしては悪くなかったんですけど、自分たちから崩れてしまった。この前の試合(ボルシアMG戦)もそうですけど、本当に目を覚まさないと、このままズルズルいってしまうと思います。
1つの勝利というのを言葉で言うのは簡単ですけど、1個の隙を突いてくるのが、このリーグ。まだまだ改善が必要ですね」と本人は厳しい表情を浮かべていた。
1月にアビスパ福岡から加入し、すでに8試合に先発するなど、彼自身は守備陣の主力の座を射止めた格好だ。とはいえ、この日に関しては、マッチアップの機会が多かった鈴木の個人技に翻弄されるシーンも散見され、不完全燃焼感も抱いたはずだ。
「(鈴木が)フリーマンみたいな動きをして、常にライン間でボールを受けるというのはスカウティングでも言われていました。そこをどう捕まえていくかが1つのポイントだった。左に来た時は、食いつきすぎずに駆け引きしようと考えていましたけど、課題もありましたね。
彼の対応だけではないですけど、リスク管理だったり、局面のバトルはもっとやっていかないと。今日、(イエロー)カードももらいましたけど、もっとクリーンに奪い切る部分も向上させないといけないと思います。奪ったボールを前につけるパスも、質を上げる必要がありますし、課題は挙げれば挙げるほどあります。でも、自分にもこれまで積み上げてきたものがあるので、それを活かしてうまく対応していけるようにしたいです」
安藤はブンデス1部という強度とレベルの高いリーグで自己研鑽を続けながら、ザンクトパウリの救世主になる覚悟だ。
そういった積極的なトライが、日本代表の活動にもプラスに働くはず。彼は2026年北中米ワールドカップ参戦を見据えて、ここから3月シリーズのスコットランド&イングランド2連戦に挑んでいくことになる。
ご存じの通り、今回の代表活動は本番前最後の強化の場。特にCB陣は長期離脱明けの冨安健洋(アヤックス)、伊藤洋輝(バイエルン)らを含めて7人が招集されており、安藤にとっては貴重なラストアピールの舞台となるのだ。
「まずは試合に出ることにフォーカスしながら、これまで通りの準備をしていくべきだと思います。このチャンスを掴むか、掴まないかは本当に自分次第。J3でプロキャリアをスタートした気持ちを忘れず、謙虚にやっていきたいと思っています」と、本人は神妙な面持ちで話す。
昨年11月の代表招集時は国内組だったが、今回は欧州5大リーグのクラブのレギュラーとして参加する。森保一監督やコーチングスタッフの目線も変わるだろうが、安藤自身は「チームが変わっただけで、メンタリティは変わらない。本当にチャレンジャーの気持ちで1週間、生き残りを賭けてやっていきたい」と力を込めていた。
ザンクトパウリが最近、勝てていない現実は確かにあるが、ブンデス1部で通用していることに自信を持っていい。それを代表でもしっかりと出し切れば、実績で勝る谷口彰悟(シント=トロイデン)や瀬古歩夢(ル・アーブル)らを上回るインパクトを残せるのではないか。
それだけのポテンシャルが安藤にあるのは、悔しい敗戦に終わったフライブルク戦でも確実に感じられた。あとは堂々とそれをピッチで示すだけだ。
スケールの大きな苦労人DFには、貪欲かつ泥臭くチャレンジを見せてほしい。それがザンクトパウリを救うことにもつながるのは間違いない。強い意気込みでキャリアの重要局面に突き進んでいくべきである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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