6月に開幕するサッカー北中米W杯に向けて、最後の強化試合となる3月の欧州遠征(29日・スコットランド戦、4月1日・イングランド戦)のメンバーが発表された。
主力選手にケガ人が続出したこともあり、当落線上の選手にとって大きなチャンスが巡ってきたといってもいい。5月31日の壮行試合であるアイスランド戦前に、本大会に出場する26名が発表される予定であることから、この遠征が最後のアピールの場となる。
今回の遠征メンバーは28名。故障から復帰すれば確実に選ばれると考えられるのは、遠藤航(リバプール)、久保建英(レアル・ソシエダ)、板倉滉(アヤックス)、そして長友佑都(FC東京)の4人だ。南野拓実(モナコ)は絶望的といわれているが、昨年8月に大ケガをした町田浩樹(ホッフェンハイム)は4月復帰を目指している。
つまり今回のメンバーから脱落するのは6~7人。まさに最後のサバイバルとなりそうだ。
では、当落線上の選手は誰か。まずセンターバックでは、安藤智哉(ザンクトパウリ)だろう。昨年7月の東アジアE-1選手権で初選出。9月のアメリカ遠征メンバーに選ばれたが、ケガで辞退した。10月、11月の代表戦にも選ばれており、森保一監督の評価は低くないはず。
190センチと長身だが、それ以上にボールを前に運ぶスキルが高くスピードもあり、攻撃力は魅力的だ。プロキャリアをスタートさせたのがJ3(FC今治)。27歳の遅咲きだが、J3からステップアップしてW杯メンバーに選出されれば、史上初の快挙になるのだが。
攻撃陣では、9月のアメリカ遠征以来の招集となった鈴木唯人(フライブルグ)。積極的にシュートを狙う思いきりの良さは、今の代表メンバーにはいないタイプだ。
鈴木と同じく9月以来の招集となった佐野航大(NECナイメヘン)は、南野のシャドーのポジションか。ただ、彼は複数のポジションをこなせる。
FWでは後藤啓介(シント=トロイデン)。11月に続いての招集となった。ベルギーリーグで二桁ゴールを決め、チームを優勝争いに引き上げた。
今回、唯一の初招集となった塩貝健人(ウォルフスブルク)にとっては、最初で最後のチャンス。ポジショニングの良さと決定力が魅力だが、スプリント能力もある。プロ契約してわずか1年半で代表入りしたワンダーボーイ。
フィールドプレーヤーで唯一の国内組である佐藤龍之介(FC東京)にもチャンスはある。1月のU-23アジアカップで優勝、MVP、得点王とタイトルを総なめにした逸材だ。
FWの町野修斗(ボルシアMG)も、現在は3番手のFW。この遠征で後藤、塩貝と最後の枠を争うことになる。
もうひとつ気になるポジションは、ボランチ。藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)や田中碧(リーズ・ユナイテッド)だが、藤田は代表に選ばれてからインパクトのある印象を与えていない。代表の常連ともいえる田中は、チームで構想外になっているのか、試合に出られない日が続いている。
このポジションには今回、選ばれなかった守田英正(スポルティング)がいる。森保監督は守田について「(守田の)戦術理解度で言えば、試すというよりも、いつでも代表の舞台に戦力として入ってこれる力を持っている」と評価しているだけに、藤田や田中に見切りをつければ、守田の代表復帰は十分にある。
あとは森保監督の使い方だ。当落線上の選手たちを、先発で使うことができるかどうか。後半の30分過ぎに出しても、アピールなんかできるわけがない。最後の生き残りを懸けた遠征で、誰が最後に切符を手に入れるか。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

