
森保J合流前に決勝弾をお膳立て。南野&久保が不在の代表でシャドーを担えるだけの頼もしさ。フライブルク鈴木唯人の進化とは?【現地発】
スコットランド、イングランドとの試合が組まれた3月シリーズに向けて、24日からグラスゴーで事前調整をスタートさせる日本代表。ご存じの通り、今回は南野拓実(モナコ)と久保建英(レアル・ソシエダ)というシャドーの主軸2人が揃って離脱。遠藤航(リバプール)も不在のボランチには鎌田大地(クリスタル・パレス)が回ると見られ、2列目の人選に注目が集まっている。
そこに名乗りを挙げそうなのが、今季欧州5大リーグ参戦を果たし、目覚ましい成長を見せているフライブルクの鈴木唯人だ。
これまで日本代表では4試合に出場して無得点という状況だが、前回招集された2025年9月シリーズの時とは所属クラブでの序列が激変。11月以降はトップ下のキーマンとして、明確な違いを作り続けているのだ。
直近19日のヨーロッパリーグでも、伊東純也を擁するゲンクに5-1の完勝。鈴木は1ゴール・1アシストの大活躍を見せ、チームの8強進出の原動力となった。
それから中2日、22日のブンデスリーガ第27節のザンクトパウリ戦(2-1)でも、鈴木は78分に、イゴール・マタノビッチの逆転弾を力強いドリブルでお膳立て。過密日程でも強度や推進力を示し続けられることを実証したのだ。
「(鈴木は)フリーマンみたいに常にライン間でボールを受けるというスカウティングがありました」と、たびたび対峙したザンクトパウリの安藤智哉も話した通り、鈴木は4-2-3-1のトップ下を務めながら、人のいないスペースへ巧みに移動。パスを受けると、自ら持ち運んでチャンスを作り、味方を活かして攻撃を組み立てていた。
まず目を引いたのが、13分の右タッチライン際の強引なドリブル突破。ザンクトパウリは安藤を含めて2枚がマークに行ったが、臆することなくグイグイと前進。安藤のイエローカードを誘発した。
そうやってドリブルで持ち運ぶ形を、鈴木は90分間の中で3~4回は見せており、そのうち1つをゴールにつなげた。「相手の複数枚にマークされても絶対にボールを失わない」という自信があるからこそ、強気のプレーを選択できる。長い距離を前進できる力、駆け引きのうまさは、ドイツ・ブンデスリーガ1部で大いに磨きがかかった点だ。
代表のシャドーにこういったタイプはほぼいない。それだけに新たなオプションになるのは確か。今の鈴木は本当に頼もしい存在なのである。
守備に関しても、疲労があるなか、ハードワークを辞さず、前線から思い切ってボールを奪いに行くシーンが目立った。球際や寄せ、攻守の切り替えという部分も、この1シーズンで目に見えて意識が変わっている様子だ。
森保一監督も重視しているポイントだ。鈴木は代表に来るたび守備強度の課題を感じ、自分なりにレベルアップに勤しんできたに違いない。その成果が、最近のゲームでしっかりと出ているように見受けられる。ゆえに、欧州5大リーグのクラブでトップ下の重責を担っていられるのだろう。
これまで日本代表で活躍してきた中村俊輔や香川真司(C大阪)にしても、トップ下からボランチやサイドなど多彩なポジションにシフトし、それをこなすことで生き抜いてきた。現10番の堂安律(フランクフルト)も、もともとインサイドのプレーヤーだったが、フライブルクでウイングバックに定着してからは、サイドが主戦場になっている。
鈴木もこの先、多彩なポジションで使われることがあるかもしれないが、今のところはトップ下のスペシャリストとして堂々たる価値を示している。難易度の高いポジションで積み重ねてきたものを、森保ジャパンに還元してほしいのだ。
もちろん、フライブルクのトップ下と代表のシャドーでは、味方との関係性やポジショニング、守備のタスクなどあらゆることが違ってくる。その適応が十分にできなかったから、今までの代表では思うような活躍が叶わなかったのだろう。
けれども、今は本人の中で確固たる自信が芽生えているはず。フライブルクのパフォーマンスをうまく代表に持ち込めれば、スコットランドやイングランドといったW杯出場国と対峙しても、必ず脅威を与えられる。それを示すしかない。
鈴木に対して欲を言えば、もっとゴールやアシストという数字にこだわってほしい。今季のリーグ戦では27試合出場で4得点・2アシスト。序盤の出場時間がやや限定的だったことを差し引いても、少し物足りない印象もある。トップ下や2列目でコンスタントにプレーしているのであれば、両方合わせて二桁超えはマストではないか。
彼はまず今週からの代表活動で、2026年北中米ワールドカップのメンバー入りを見据え、全力を注ぐことになるが、その後の4~5月で勝利に直結する仕事を増やしていくべき。それが実現すれば、W杯本番でも代表エース級に上り詰めることもあり得るのだ。
際限ないポテンシャルを秘めた24歳のアタッカーが成長曲線をさらに引き上げ、我々の想像をはるかに超える領域に到達してくれれば理想的。鈴木にはそれだけの可能性がある。このタイミングで一気にブレイクしてほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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